チャリダー目線での宮ヶ瀬ダムの魅力探訪

一般財団法人 水源地環境センター
研究第二部 丸尾 慶樹

①宮ヶ瀬ダム周辺のチャリダーの利用

近年、某自転車雑誌で特集されるなど、自転車でダムを巡ることは世間で注目されています。ちなみに、私の知人で「ダム部」なる女子自転車愛好家集団を結成し、日々嬉々としてダム巡りを楽しんでいる面々がいます。

宮ヶ瀬ダム周辺を自転車で走る場合、虹の大橋~やまびこ大橋を通るコースなら一周11kmの平坦基調、ママチャリでも周回可能です。

ただし、周囲には有名なヤビツ峠等の坂があり、コースレイアウト次第で強度が高いコースが設定可能なため、大勢のロードレーサーが平日休日問わず走り回っています。

今年開催された東京オリンピックでも、宮ヶ瀬ダム近傍を通過する全長244kmのコースが設定されていたこともあり、これを目指して走る方もいるとかいないとか。

ちなみに、私もごく一部区間を走りましたが、キツかったです。

静岡県HPより(一部加筆)

②宮ヶ瀬ダム周辺の観光

宮ヶ瀬ダムへの年間利用者数(H26で約200万人)はダムとしては日本で1位(!) で、社会科学習としても神奈川県内の公立高校約4割の生徒が勉強に訪れています。

また、自然いっぱいの観光スポットとしては、相模原市の「鳥居原エリア」、愛川町の「ダムサイトエリア」、清川村の「宮ヶ瀬湖畔エリア」など充実しています。

特に、来訪時(R3.11.10)はコロナ禍で中止していた観光放流が再開された日であったため、平日にも拘らず社会科授業の小学生他、大勢の人が壮大な光景を楽しんでいました。

ちなみに、観光放流を定期的に行っているダムは全国的に珍しく、放流量においても有名な黒四ダムの放流量 約10m3/sに対して、宮ヶ瀬ダムは30m3/sも放流しています。

一方、宮ヶ瀬湖畔エリアでは、クリスマスイベントに備えた電飾に飾られた木々がありました。今年のライトアップは12月4日から26日まで開催されるとのことです。

観光放流の様子

宮ヶ瀬湖畔園地
(宮ヶ瀬湖畔エリア)

ライトアップされた様子

イルミネーション用に電飾された木々
(宮ヶ瀬湖畔エリア)

ライトアップされた様子

大噴水
(宮ヶ瀬湖畔エリア)

③宮ヶ瀬ダムについてのお勉強

せっかく来たのですから、宮ヶ瀬ダムについてのお勉強も必要です。

宮ヶ瀬ダムについて知るなら、ダム堤体左岸側の「宮ヶ瀬ダム展望ホール」、または右岸側の「水とエネルギー館」へ。

ダムの生い立ちや、近年話題のSDGsとダムの関係など、じっくり回るとしっかり学べるので、オススメです!

宮ヶ瀬ダム展望ホール

水とエネルギー館

ここで勉強の成果を少しばかり。

宮ヶ瀬ダムは、重力式ダムの中で、堤体積(約200万m3)は日本1位、堤体高さ(156m)は2位と非常に大きなダムです。

宮ヶ瀬ダムは、秋田県にある玉川ダムで大規模ダムに採用されたRCD(Roller Compacted Dam)工法を採用し、当該工法の技術の集大成として施工されたダムであり、本工法はその後台形CSG(Cemented Sand and Gravel)工法として成瀬ダム(2026年度完成予定)に継承されており、現在無人での堤体打設工事が進められているところです。

なお、宮ヶ瀬ダムの建設時に用いられたインクラインの一部は(世界初のダンプ搭載型インクライン)は現在も現役で、訪れる人々を今日も堤体上・下へと運び続けています。(有料です)

また、ここで、「SDGsと宮ヶ瀬ダム」の観点でみてみると、ダムの役割そのものが、環境に優しくサステナビリティな社会づくりに大きく貢献していることが伺えます。

今日、実体験として感じたことをあげると次のとおりです。

SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」
宮ヶ瀬ダムは、神奈川県民の「みずがめ」として持続的に生活用水を供給し、県内の約22%の方は宮ヶ瀬ダムの水を飲んでいるとのこと。また、2000年度に宮ヶ瀬ダムが完成して以来、神奈川県では給水制限等の渇水で困ったことはないとのことです。

次に、SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
宮ヶ瀬ダムには2箇所の発電所があり、再生可能なダムの水を利用して、温室効果ガスを出さないクリーンなエネルギーをつくり続けています。

最後に、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」
水関連災害などの災害による被災者数の大幅な削減に貢献しています。
各所で大きな被害のあった令和元年の台風19号の大雨時には、大量の洪水を貯留して貯水池は10mも上昇したとのことですが、下流河川の水位を2m以上も下げて災害を防止したとのことです。

神奈川県の「みずがめ」宮ヶ瀬湖
台風等の大雨時には最大で4,500万m3の流水を貯め込みます

愛川第1発電所

下流にある第2発電所

④宮ヶ瀬ダム周辺での飲食

さあ、ここまでチャリで廻ると、お腹も減ってきました。頭も身体も充電させるべく、ここでエネルギー補給です。

宮ヶ瀬ダム周辺には土産物屋や飲食店が数多くありますが、せっかくなのでダムカレーを選択します。当ダムではダムカレーが2種類ありますが、今回は「旅館みはる」さんのダムカレーをいただきました。

ここのダムカレーには一風変わった具が載せられており、自分のタイミングで放流体験もできます。一食されることをオススメします!

宮ヶ瀬湖畔園地の商店街

「旅館みはる」さんのダムカレー

おやつやお土産にオススメなのは、近くの名店「オギノパン」名物のアンパンや揚げパンを楽しみましょう。種類が多く目移りします。

名店「オギノパン」と中の様子

以上、宮ヶ瀬ダムの魅力について、チャリダー目線でお伝えしました。
皆様も是非、ソーシャルディスタンスに留意しつつ、お越しください!