水源地域活性化の取り組みⅡ ~藤原ダム:みなかみ3ダム春の点検大放流の開催~

一般財団法人 水源地環境センター
研究第一部 磯部 久貴

水源地環境センターでは全国のダムにおいて、業務や研究を通じてダムを活用した水源地域活性化に関する様々な取り組みを行い、水源地域の活性化に貢献しています。今回は4月にご紹介した薗原ダムに引き続き、藤原ダムを含めたみなかみ町の3ダムが連携し、この5月21日、22日に開催される地域活性化イベント「みなかみ3ダム春の点検大放流」についてご紹介したいと思います。

■1.みなかみ町と藤原ダム

(1) 藤原ダムの歴史

藤原ダムは、利根川上流ダム群のひとつで利根川の上流部に位置する重力式コンクリートダムです。昭和27年から建設が始まり、昭和33年利根川上流ダム群のうち最初に竣工し、相俣ダムとともに昭和39年4月に利根川ダム統合管理事務所の管理となりました。

なお、藤原ダムの上流には水資源機構が管理している矢木沢ダムや奈良俣ダムといった首都圏を支えるダムがあり、より一層の治水や利水の管理機能の向上のため複数のダムを統合した管理を行っています。

(2) みなかみ町の魅力

藤原ダムのあるみなかみ町は首都圏から近い自然豊かなユネスコエコパークに登録されている町です。

群馬県の北部・谷川岳の麓に位置し、昔ながらのあたたかみのある温泉施設はもちろん、谷川岳や利根川などの豊かな自然や景勝地、史跡などの見どころも数多くあります。また、関東のアウトドアの聖地とも言われ、ラフティングやバンジージャンプ、スキーといった多種多様なアクティビティが年間を通じて楽しめます。

みなかみ町観光協会
みなかみパーフェクトガイト

(3) 藤原ダムの目的とダムの特徴

藤原ダムは、①洪水調節、②ダム下流の既得用水の安定化と河川環境の保全等のための流量を確保すること、③発電を行うことを目的にダムの管理がなされています。
特に、上流の矢木沢ダムや奈良俣ダムの水が藤原ダムを経由して下流に流れることから、利根川上流のダムの要の役割を果たしている重要なダムです。

このような藤原ダムには以下のような特徴があります。

①奥利根の豪雪地域にあることから、首都圏の重要な水瓶の一つです。放流の時期には特徴があり、春の雪解けによる放流や、田んぼの時期の放流が大変多く、年間約90日程度放流しています。

②ダムの形式はオーソドックスな重力式コンクリートダムですが、近隣の玉原ダムと連携して揚水式発電を行うなど、ダムの運用に特徴があります。

③この他に、ゲート設備に特徴があり、ダム天端のクレストゲートに加えて、利水用のゲートとして日本最大級のホロージェットバルブやジェットフローゲートが設置されています。

利根川ダム統合管理事務所
ドローン撮影動画

また、近年では激甚化する災害に対応するために上流のダム同士で連携強化によってダムの治水機能向上を図るため、藤原ダムと奈良俣ダムにおいてダムの役割分担を見直す(容量振り替えを行う)「藤原・奈良俣再編ダム再生事業」に取り組んでいます。

■2.みなかみ3ダム春の点検大放流

▲クリックでPDFが開きます。

藤原ダムでは、ダムを活用した地域活性化を推進する「利根川源流水源地域ビジョン」の一環として地元とダム管理者である国土交通省 関東地方整備局 利根川ダム統合管理事務所、水資源機構 沼田総合管理所とがタッグを組んで、「みなかみ3ダム春の点検大放流」というイベントを開催しています。

イベントの概要ですが、みなかみ町の奥利根地域にある、藤原ダム、矢木沢ダム、奈良俣ダムの3つのダムでは、年に一度、6月の洪水期を迎える前にダムの放流設備が安全に作動するかを確認するため点検放流が行なわれます。この点検放流の機会を活用して、めったに見られないゲートからの放流の模様を一般の皆様に披露するイベントとして開催されます。

令和2年、3年は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響により2年連続で中止となっていましたが、今年は感染対策を徹底しながら3年ぶりに開催されることになりました。

令和4年は5月21日~22日に開催されます。
藤原ダムでは5月21日 10:30~11:30、13:00~14:00、奈良俣ダムでは同日15:00~16:00、矢木沢ダムでは5月22日 10:30~11:30、14:30~15:30に点検放流が実施される予定となっており、その前後の時間帯に各ダムの周辺で様々な地域イベントが実施されます。

みなかみ町観光協会
みなかみ3ダム春の点検大放流2022

藤原ダムの見所は大きく3つあります。

(1) ダム堤体内+ダム下での放流見学

・普段は入ることが出来ないダム堤体内を通り、ダムの直下の広場でダムからの大迫力の放流を見学出来ます。なお、今年は新型コロナウィルスの感染拡大防止の観点から定員制になっています。

・ダムの堤体内は非常に涼しく、10度前後で初夏には寒いくらいの体験が出来ます。なお、階段が非常に急でダム内での移動の高低差が約8階分の上り下りがありますので、歩きやすい靴等の準備をいただくなど十分準備をしていただければと思います。

(2) ホロージェットバルブの見学

・ホロージェットバルブは日本最大級の施設で大迫力の放流を間近に見学出来ます。特にフェンスに撮影用のスポットが設けてあり、金網越しではなく、カメラを直に被写体に向けて撮影することが出来ます。なお、ものすごい「ダム汁」がでますので、ご来場の際は、雨合羽などの準備をお願いします。

(3) クレストゲート機械室+表面取水設備見学

・ダムの堤体の上にそびえ立つクレストゲートの機械室に入って見学が出来ます。普段は入ることの出来ない機械室には巨大なウィンチなどゲートを上げ下げする様々な設備を見学することができます。

・また、下流地域の農作物にダムからの放流水が影響を与えないように取水する表面取水設備には、湖面に張り出した塔屋内に入ることが出来、湖面に浮かんだような感覚でダム湖をみることが出来ます。

この他に、地元の方々による特設店舗エリアも開催され、お土産などが購入出来る予定です。

お申し込みやお問い合わせは、みなかみ町観光協会のWebサイトをご覧ください。

 みなかみ3ダム春の点検大放流2022 開催概要
 開催日

5月21日(土)
■藤原ダム  9:30 ~ 14:00(予定)  【点検放流 10:30 ~ 11:30 / 13:00 ~ 14:00】
■奈良俣ダム 12:00 ~ 16:30(予定)  【点検放流 15:00 ~ 16:00】

5月22日(日)
■矢木沢ダム 8:00 ~ 17:00(予定)  【点検放流 10:30 ~ 11:30 / 14:30 ~ 15:30】

 注意事項

①交通混雑防止の観点からダムまでの経路は自家用車等の通行が規制されます。このため、ご来場は奥利根スノーパークの駐車場または旧幸知小学校の駐車場からシャトルバスに乗車し来場ください。
■駐車料金(各ダム1カ所)
普通車1台:1,000円 / バイク1台:500円 / マイクロ以上1台:5,000円
※車でのご来場のお客様で駐車券をお持ちでない方はご来場できませんので、お気をつけください。
■駐車券販売方法
セブンチケット 令和4年4月30日(土)午前10時より販売
セブンチケットの販売ページ:http://7ticket.jp/s/095456
※販売期限は各イベント当日の10時まで。(売り切れ次第終了)
※矢木沢ダムの駐車券は提携宿泊施設にお泊りいただいても入手できます。(限定数あり)

②藤原ダムの天端とダムの下は場内の連絡バスを運行していますのでご利用ください。

③町内に宿泊された方は、藤原ダム放流の翌日の矢木沢ダムのファストパス(200円/枚)を宿で購入出来ます。
ファストパス購入者には、奈良俣ダム30周年記念カードフォルダセットや缶バッジ一個がプレゼントされます。

④新型コロナウィルスの感染拡大状況や天候によっては中止になる場合があります。詳細はみなかみ町観光協会Webサイトをご確認ください。

 問い合わせ先

みなかみ町観光協会
TEL:0278-62-0401
Webサイト:https://www.enjoy-minakami.jp/3dam2022