「ダム管理所長に聞く」第23回《味噌川ダム》

(聞き手:水源地環境センター 名古屋事務所 可児)

(WEC)
「ダム管理所長に聞く」第23回は、木曽川水系最上流に建設された多目的ダムである味噌川ダムを管理する水資源機構 味噌川ダム管理所の後藤所長にお話しをお聞きしました。

後藤所長、どうぞよろしくお願いします。では、はじめに味噌川ダムのご紹介をお願いします。

■国内の多目的ダム第2位の標高

(後藤所長)
味噌川ダムは、日本三百名山「鉢盛山(標高2,447m)」を水源とする木曽川の最上流に建設された多目的ダムです。

木曽川流域の洪水被害の軽減、岐阜県・愛知県・名古屋市の水道用水並びに愛知県の工業用水の供給とともに、渇水時の放流による良好な河川環境の維持を目的として、平成8年より管理を行っています。また、直下に建設された「奥木曽発電所(長野県企業局)」で、ダムからの放流水を利用した水力発電を行っています。

ダム天端標高 EL.1,130mは、国内の多目的ダム第2位の標高であり、貯水池である「奥木曽湖」は総貯水容量6,100万m3と長野県最大の湖である諏訪湖の水量にほぼ匹敵し、ダム湖百選にも選ばれています。

味噌川ダム位置図

初夏の味噌川ダムから木曽駒ヶ岳を望む

(WEC)
味噌川ダムは木曽川の本川最上流部にありますが、なぜ味噌川という名前なのでしょうか?

(後藤所長)
もともと木曽川の源流付近はまだ木曽川になっていないという意味で「未曽川」と呼ばれていたようで、それがいつのまにか「味噌川」と呼ばれるようになったようです。また、村の名前は、木曽郡を縦断する木曽川の源流の地であることから、木曽の祖という意味を込めて木祖村と名付けられたとのことです。

続きましてダムの構造ですが、高さ140mの中央遮水壁型ロックフィルダムで、堤体積890万m3の盛立に際し、従来は破棄していたCL級粘板岩をロックⅢゾーンとして使用することにより、盛立材料の有効活用を図るなど、恵まれない地質条件と気象環境を克服したことに対して、土木学会技術賞を受賞しています。

■特別防災操作による被害軽減

(WEC)
実は、私は盛立の初期にコアの盛立を始めたころ現場にお邪魔し、当時の副所長さんからコア材の適切な含水比について教えていただいた記憶があります。

続きまして近年各地で豪雨災害が頻発していますが、味噌川ダムではどのような状況でしょうか?

(後藤所長)
長野県内を流れる木曽川は、狭窄部の河川改修が進捗していないため、特にダム下流基準地点の木曽町福島地区では、ダム流域以外の残流域が大きく、雨の降り方によっては、味噌川ダムで計画通り50m3/s放流の洪水調節を行っても浸水被害が発生する恐れがあります。

このため、必要に応じて国土交通省 木曽川水系ダム統合管理事務所長より、地元自治体からの要請に基づくダム統合操作指示を受け、ダムからの放流量を減量する「特別防災操作」を行っています。

令和3年8月出水の際には、ダム最大流入量130m3/sに対して、放流量を50m3/sから30m3/sに減量する特別防災操作を行い、下流域の被害軽減に努めました。

<令和3年8月12日~15日 味噌川ダムの効果>

■木曽川が結ぶ上下流交流

(WEC)
木曽川では水源地域と下流の人々の交流が盛んにおこなわれているとお聞きしましたが、どのような活動をされているのですか?

(後藤所長)
木曽川の水源地域に住む人々と、その恩恵を受ける下流地域に住む人々が集まって、お互いの暮らしや考え方の理解を深めるための活動が行われています。

その一環として木曽郡内町村で組織する木曽広域連合と利水者である愛知中部水道企業団との間で「森林整備協定」を締結し水源の森林を守る活動が行われています。

また、味噌川ダム湖周辺では日進市民によるダム湖周辺の森林を保全する分収造林事業「平成日進の森林」づくりが平成5年から行われています。

また、水源地域である木祖村の皆さんと、受益地の名古屋市、一宮市、知多市、尾張旭市など多くの皆さんがイベント等を通して互いに行き来して交流を深めています。

上下流交流 サマーとりっぷ in 木祖村

平成日進の森 ボランティア作業状況

■ダム湖周辺で開催される様々なイベント

(WEC)
地域活性化のためのイベントの開催状況はいかがでしょうか?

スターターは唐沢木祖村長と後藤所長

(後藤所長)
ダム湖周辺では、四季を通して様々なイベントが開催されており、多くの来訪者で賑わっています。

ここ2年間は新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から多くのイベントが中止を余儀なくされましたが、今年度は感染予防対策に万全を期して、開催される予定です。

自転車ロードレースの「2days race in 木祖村」は5月14日・15日の2日間にわたって6年ぶりに開催され、35チーム175人のアマチュアライダーが参加し、最長120㎞を超えるレースに挑みました。


アマチュアライダーが白熱したレースを展開

奥木曽湖ウォーキングは毎年、夏季と秋季の2回開催されていますが、今年は5月28日に夏季の部が開催され、4歳から73歳までの男女18名が深緑の中ウォーキングを楽しみました。

参加者集合写真

ウォーキングスタート

正沢公園で休憩

木曽駒ヶ岳を眺めつつもうすぐゴール

やぶはら高原はくさいマラソン大会は7月2日の開催が決定しています。令和元年以来3年ぶりの開催で、既に参加申込み受付は終了していますが、過去の大会では毎年、1000人以上のランナーが参加しています。

やぶはら高原はくさいマラソン

ダム湖を周回するハーフコースが復活しました

■自然を満喫できる観光スポット満載

(後藤所長)
これらのイベントの他にも木祖村には味噌川ダムのほか、やぶはら高原スキー場やキャンプ場、平成の名水百選にも選ばれた「水木沢天然林」の散策コースなど、自然を満喫できる観光スポットであふれています。

やぶはら高原スキー場

こだまの森キャンプ場

水木沢天然林

あやめ公園

■豊富な特産品

(WEC)
それでは最後に一言お願いします。

(後藤所長)
木祖村での自然の満喫とあわせて味噌川ダムによってください。併設した味噌川ダム防災資料館で、木曽川源流の自然や木曽川流域の人々の暮らしや文化を育んできた川と水を身近に感じ、水の大切さと水資源の重要性を考えていただければと思います。

また、伝統的なお六櫛、御嶽はくさいや、とうもろこしなど特産品も多数ありますので、是非遊びに来て下さい。

味噌川ダム防災資料館(ふれあい館)

後藤所長

お六櫛

特産品の御嶽はくさい と とうもろこし


(WEC)
本日はありがとうございました。


■独立行政法人 水資源機構 味噌川ダム管理所HP:https://www.water.go.jp/chubu/misogawa/
■味噌川ダム防災資料館HP:https://www.fureaikan.jp/