第26回「地域に開かれたダム」全国連絡協議会 現地交流会が群馬県みなかみ町(相俣ダム)で開催される

一般財団法人 水源地環境センター
企画部 渡邉 和典

2022年11月10日~11日に群馬県みなかみ町において、「地域に開かれたダム」全国連絡協議会 現地交流会が開かれました。

「地域に開かれたダム」は、ダム湖の利活用をさらに推進し、地域の活性化を図るため地域の創意工夫を生かすとともに、ダムを地域に一層開放することを目的として、ダム所在市町村の申請に応じて国土交通省が指定したダムで、全国に46のダムがあります。

同協議会は「地域に開かれたダム」の円滑な取り組みの推進を目的としており、この趣旨に賛同した指定ダム所在地の市町村長で構成されています(現在27市町村)。

1994年の設立以来、協議会会長の市町村に所在するダムにおいて、ダム水源地域活性化の情報交換と具体的な実施事例の勉強を目的として、現地交流会がほぼ毎年開催されてきましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年、2021年と2年連続中止となっていました。

今回は、3年ぶりに同協議会加入の6市町村に加え、利根川水系 相俣ダムの地元 みなかみ町の関係者や国土交通省本省と関東地方整備局、群馬県など関係者約60名が参加しました。

みなかみ町 阿部町長

冒頭、今年度の同協議会会長である、開催地みなかみ町 阿部町長の挨拶がありました。

町長は、ユネスコエコパークに選定された豊かな自然と伝統的な農村文化を育む地域であるみなかみ町の首長として、利根川源流5ダムを擁し首都圏三千万人の経済と暮らしを支える町の重大な責務の自覚について触れました。

また、現在堰堤改良事業を実施している相俣ダムの見学や、同ダムの利活用事例の発表を通して、ダムを核とした地域活性化を考える機会とし、情報共有と意見交換を行うことの重要性を強調しました。

最後に、開催にご協力頂いた国土交通省並びに地元猿ヶ京地区の住民の方々に謝辞を述べ、挨拶を締めくくりました。

国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課 大野流水管理室長

次に、来賓を代表して国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課 大野流水管理室長より挨拶がありました。

災害の激甚化、頻発化傾向が著しい状況の中での治水・利水・再生可能エネルギー導入推進等の政策と地域振興の両立のため、ダムの果たす役割が益々大きくなってきている。
「地域に開かれたダム」に取り組まれている皆様の活動は、国民にダムを身近に感じていただくにあたり大きな役割を果たしていると感じている。
水源地域の活性化に取り組む方々の貴重な意見交換・情報交換が行われることを期待するとともに、参加者の方々のご意見をしっかり聞かせていただき、流域の協力を得ながら河川整備を引き続き進めていきたい、と述べられました。

利根川ダム統合管理事務所 佐々木所長

引き続き開催された情報交換会では、最初に国土交通省 関東地方整備局 利根川ダム統合管理事務所の佐々木所長より「地域に開かれたダムの取り組み ~相俣ダム(赤谷湖)~」と題して、利根川上流のダム群、さらにみなかみ町の指定ダムである相俣ダムの概要とダムや周辺施設の利活用について紹介がありました。

みなかみ町役場 観光商工課 小野主幹

猿ヶ京ネットワーク 田村事務局長
(写真提供:群馬県みなかみ町)

続いて、みなかみ町役場 観光商工課の小野主幹より「ダムとみなかみユネスコエコパークについて」と題して、その活動状況や地域との連携のあり方について発表がありました。

また、地元猿ヶ京地区の環境ボランティア団体 猿ヶ京ネットワークの田村事務局長より、猿ヶ京温泉上杉謙信武者行列・赤谷湖新緑そよ風鯉のぼり・赤谷湖湖上花火大会などの地域行事、赤谷湖Eボート大会等の若者主体のイベントなど、相俣ダムとダム湖「赤谷湖」を中心とした地域の活動状況について事例紹介がありました。

その後、参加者は相俣ダムへ向かい、現在工事中の相俣ダム堰堤改良事業を視察し、様々な取り組みについて説明を受けました。情報交換会終了後、夕刻には交流懇談会も開催され、全国からの参加者で意見交換を行いました。

翌日は、ダム下流の地域にある道の駅「たくみの里」の地域活性化の取り組みを視察し、現地交流会を予定通り終えました。

この現地交流会を出発点として、全国のダム水源地域における地域活性化に向けた取り組みが一層進展することを期待しています。