水源地を旅する 第十三弾「群馬県みなかみ町・利根川の双璧は矢木沢ダムと奈良俣ダム」

■はじめに

今回は群馬県みなかみ町のダム巡りです。アーチ式の矢木沢ダム、ロックフィル式の奈良俣ダム、重力式の藤原ダムと3つの異なるタイプのダムが1度に見ることができるので、ダム巡り初心者から上級者まで幅広くオススメできるドライブコースです。


■利根川最上流ダム群へ

 今回のスタートは関越道の水上I.C(A)。首都圏からは練馬I.Cから1時間30分ほどです。後で立ち寄るレストラン諏訪峡(B)、道の駅水紀行館(C)、小荒井製菓(D)を通り過ぎ、利根川を上流方向に向かいます。みなかみ温泉中心部を抜け大穴交差点(E)を右に曲がって5分ほど進めば小森ダム(F)【地図】です。

道路沿いに車1台ほどが止められるスペースがありますので、通行する車の迷惑にならないよう停車して見学してみましょう。小森ダムはスノーシェッドを出た直後、道路よりだいぶ下にありますので、気を付けないと見落としてしまいます。今回のダム巡り唯一のこじんまりとしたダム。しっかりと目に焼き付けておきます。

小森ダムから数分で藤原ダム(G)【地図】です。オーソドックスでかつ重厚感のある重力式コンクリートダムは、見ているだけで惚れ惚れしてしまいます。一部ダムマニアからはそのイケメンぶりから”藤原様”とも呼ばれているとかいないとか。ダム右岸側に車数台が止められる駐車場(H)があり、少し奥の藤原ダム管理支所(I)にも車を止めることができます。

藤原ダム手前(J)を右折してダム直下(K)に降りれば、正面から拝むこともできます。

さらに、そのすぐ手前(L)では藤原ダムの放流口(ホロージェットバルブ)を見学することができます。この日はたまたま放流中でした。

藤原ダムを通り過ぎてさらに上流側へ進むと、分岐(M)が見えてきます。まずは矢木沢ダム方面、左側に進みます。

数分で矢木沢ダムの前座、須田貝ダム(N)【地図】が見えてきます。東京電力のダムで、正面からきれいに見上げることができます。駐車スペースもたくさんありますので、車を止めてゆっくり見学しましょう。

この先、矢木沢ダムまでは管理用道路を進みます。雪のない5月~11月、お昼のみ(正確な期間は年によって違います。公式サイトをご確認ください)通行可能です。管理をされている水資源機構さんに感謝しながら通ります。ここから山道を走ること約15分で矢木沢ダム直下(O)に到着です。

目の前に突然巨大な矢木沢ダムが現れます。こちらは巨大なアーチ式コンクリートダム。下から見上げてみると、高さ131メートル、関東の水がめといわれるだけあってさすがの大きさです。

ダムの左側を見上げると、スキーのジャンプ台のような構造物が!実は、こちらは非常用洪水吐といって、大雨が降ったときに放流するために使う設備です。毎年5月には点検放流イベントが開かれ、1000人を超える人が訪れるみなかみ町の大イベントとなっています。

ダムの上に行けば、駐車場(P)に車を止めてネイチャービュー矢木沢(Q)【地図】で矢木沢ダムに関する展示を見ることができます(新型コロナウイルスの影響でこの日は閉館)。

青を基調とした落ち着いたデザインで、関東平野を守り関東平野に潤いをもたらす矢木沢ダム、一見の価値アリです!

見学を終えたら、引き返して先ほどの分岐(M)を今度は鋭角に左に曲がります。10分ほどで今度はロックフィル式の奈良俣ダムを下流側から見られる場所(R)【地図】に到着です。

こちらは、ダム下に駐車場はありませんが道が広いので車を止めることができます。

完成から約30年が経ってさすがに完成当初からは多少の色あせがありますが、ダム王国群馬のダムの女王ともいわれるだけあって荘厳な堤体は必見です。

健脚の方はダム右岸を歩いて上がることもできます(もちろん車でも上がれます。経路は、徒歩の場合を記載)。

ダムの上も見学可能です。

■日本一のモグラ駅・土合駅

ダム巡りを終えたら、来た道を引き返します。水上藤原郵便局(S)を左折すると近道できます。先ほど通った大穴の交差点を右に曲がり、10分ほどで土合駅(T)【地図】です。不思議な不思議な駅を見学してみましょう。

駅前は広場になっているので、ここに車を止められます。

上りの水上・東京方面は地上にあるのですが、下りの越後湯沢・新潟方面ホームはなんと地下70メートル、普通の建物なら地下20階相当の場所にあります。

下まで降りると、夏はひんやり、冬はほっとする温かさで、洞窟を探検しているような気分になります。

■レストラン諏訪峡

 お腹がすいたら、みなかみといえばダムカレーです!今回はみなかみ町中心部まで戻って、レストラン諏訪峡(B)【地図】へお邪魔しました。

一見ドライブインのような外観のこちらのお店、こだわりのダムカレーを頂くことができます。

ダムの天端(ライスの上)に野菜の素揚げが立体感たっぷりに乗っていて、食欲をそそられます。今回は、普通盛りの矢木沢ダムカレーを頼みましたが、中盛りの藤原ダム、大盛の奈良俣ダムも食べることができます。形がなくなるまで煮込んだ野菜にいくつものスパイスを加えた、本格的でかつ安心する味。レストラン諏訪峡の宮内さんは、「放流できないと面白くないのであえてながれやすいように作っているんです」。その言葉通り、めちゃくちゃよく流れました。

■おみやげは道の駅みなかみ水紀行館と小荒井製菓で

レストラン諏訪峡から500メートルほど。道の駅みなかみ水紀行館(C)【地図】でお土産です。

大変な賑わいで、地元産きのこ、白菜、りんごなど新鮮な野菜とみなかみ名物を買うことができます。夏だったらBBQ用の野菜を買うのにとてもよさそうですし、冬は鍋用の野菜をいっぱい買っていきましょう。

水紀行館には、これ以外にも足湯、淡水魚水族館(有料)、ロッククライミング体験(有料)などみなかみ町ならではの楽しいスポットがいっぱいあり、ここで1日過ごすこともできるくらいの充実ぶりです。

そして、水紀行館の裏には老舗・小荒井製菓(D)

みなかみ名物・生どら焼きをお手ごろな値段でいただくことができます。外はふわふわでホットケーキのよう、中は生クリームのようにクリーミー。小倉あん、カスタードなど5~10種類ほどを購入できます。もちろんお土産にもとてもよいですが、ダム巡りのお供にもオススメです。

■おわりに

今回は、ダムめぐりをメインにご紹介しましたが、これ以外にも一の倉沢ハイキング(U)、SLみなかみ、湯テルメたにがわ、バンジージャンプなどみなかみには魅力がいっぱいです!

(一の倉沢ハイキング)

 首都圏からのアクセスも抜群ですので、ぜひ気軽に足を伸ばしてみてください。私が矢木沢ダム周辺奈良俣ダムから土合駅にかけてのルートを2018年に訪問した際の記録も、宜しければ参考にして下さい。

写真・文:ダムライター猪野光太郎(いのっち)

■今回のルート