今回は岩手県北上市と秋田県横手市のちょうど真ん中にある湯田ダム【地図】。ダム湖の錦秋湖周辺を車で旅します。ご当地グルメ、温泉、ダム、鉄道など刺激いっぱいの一日が過ごせること間違いなしです。スタート地点はJR北上駅【地図】(A)。東京駅からは東北新幹線で2時間30分から3時間程度です。
湯田ダムまでは、北上駅から車で35分ほど。和賀川沿いに上流方向へ向かいます。途中、トンネル内にある分岐(B)を左折して50メートルほど進めば湯田ダム(C)に到着です。この分岐は見落としやすいので注意しましょう。
湯田ダムのお出迎えです。湯田ダムは重力式アーチダムという日本でも十数基しかない非常に珍しい形式を採用しています。写真正面の6門あるクレストゲートは緊急放流用のゲートで通常時は使われません。しかし、4月下旬頃の一日に、施設の点検のための放流が近年は毎年行われており、これが評判を呼んで一大イベントとなっています。例年、管理事務所のウェブページで告知があるので見逃さないようにしましょう。私が訪れたのはその点検の日ではありませんでしたが、下側の常用洪水吐から勢いよく放流されていました。
拡大するとものすごい勢いです。
放流する水の音が聞こえます。
運が良ければ虹がかかっているのを見ることもできますよ。
場所によっては「ダム汁」(水しぶき)を浴びることもできます。
天端を歩いて右岸側まで行ってみます(D)。常用洪水吐を見るのならこちらのほうが見やすいかもしれません。
ダムの本体を見るだけであればこれでおしまいですが、今回はココからが本番。おいしいものを食べ尽くし、絶景を求める旅を続けます。道の駅錦秋湖【地図】(E)は湯田ダムから車で数分、トンネルを出てすぐのところにあります。
(外観)
青空に映えるステキな外観でした。
(内観)
地元の特産品が並んでいます。
「ユキノチカラ」は地元西和賀のブランドだそうです。わらびのピクルス以外に白ビール、ジャムなども置いてありました。
一通り買い物を済ませたら道の駅併設のレストランでランチタイムです。レストランでは、地元産の旬の食材を使った料理がいただけます。今回は春バージョンのメニューでしたが、夏、秋、冬と季節ごとにメニューをアレンジしており行くたびに違った味が楽しめます。この日は、湯田ダムカレーと西和賀旬彩御膳をオーダーしました。「おひとり様で!?」とお店の人に軽く驚かれましたが、はい、食べます。
まず湯田ダムカレーがやってきました。元気いっぱいに盛られた一品は湯田ダムを忠実に再現しています。ライスで作られたダムの下流側の光景は、ぜひ実際に現地でオーダーして確かめてみてください。
続いて西和賀旬彩御膳がやってきました。一応メインは真ん中の山菜天ぷらなのだと思いますが、天ぷらのまわりの7皿も主役級の輝きを放っています。かといって、それぞれが主張しすぎて喧嘩するようなこともなく食後は口の中が何とも言えない幸せの味。ダムカレーと旬彩御膳、それぞれボリューム満点でもちろん1品だけでも大満足ですが、両方とも非常においしくいただきました。ごちそうさまでした。
食後は、錦秋湖の上流側の絶景ポイントを目指します。
まずは天ケ瀬橋【地図】。(F)
左岸側に数台が止められる駐車スペース(G)があります。
雪解け水により湖の水位が高くなる春には、橋の周りで水没林を見ることができます。
さらに数分上流側に進むと、道路沿いに数台が止められる駐車場【地図】(H)があり、第二和賀川橋りょうという赤い橋を通る鉄道の写真を撮影することができます。
北上線は1日に10本程度しか走っておらず、撮影する際は事前に時刻表を調べてから行ってみましょう。
さらに5キロほど進めばほっとゆだ駅【地図】(I)。この駅、なんと駅舎の中に温泉があります!駅前の駐車場に車を止めたら300円で駅舎のなかの温泉(川尻温泉ほっとゆだ)へ。源泉かけながしの温泉でほっと一息つくことができました。時間があれば、ここから錦秋湖の上流部に設けられた貯砂ダムにより出来たダム湖の周りをぐるりと巡るウォーキングルートをまわるのもオススメです。周る時間は1時間半程度。その途中には、湯田ダムに流れ込む土砂を溜める役割を持つ貯砂ダムでもある錦秋湖大滝(J)があります。7月から10月頃までなら、運悪く洪水が起きていたりしなければ、滝の内側を通り抜けて、滝を裏側から眺めることもできます。
楽しい1日は地元のスイーツで締めましょう。
ほっとゆだ駅の温泉から車で10分弱、結ハウス【地図】(K)では地元産わらび粉から作ったわらび餅を贅沢に使ったにしわがまるごとスイーツをいただけます。
最下層にはそば粉かりんとうが敷き詰められており、アイスとも相性バツグン。ちょうど小腹がすいてきたところで地元西和賀の甘味を思う存分味わうことができます。
帰りは、結ハウスからすぐの湯田IC(L) から秋田自動車道で北上駅(A)に戻ると速いです。スケジュールによっては、たくさんの温泉場から構成される湯田温泉郷のどこかに宿泊したり秋田県側の横手市まで抜けたりするのも良いでしょう。北上駅まで戻るにしても、帰りに高速道路を使わずに「鬼の館」(M) や、桜で有名な北上川河畔の「展勝地公園」(N)に立ち寄ることもできます。
今回は、岩手県と秋田県の県境付近にある湯田ダム周辺を訪問しました。時期によって様々なイベントが開かれていますので、地元の西和賀町観光協会や湯田ダムを管理する国土交通省北上川ダム統合管理所のホームページをチェックしてから出かけるのがオススメです。カヌー体験ができるイベントやSUPに乗って水没林を散歩するイベントなんていうのもありますよ。
今回立ち寄った温泉はほっとゆだ駅前の川尻温泉だけでしたが、温泉好きの方は、いろいろな源泉の温泉を湯めぐりしてみるのも面白そうです。
キャンプ派にはオートキャンプ場焼地台公園(O)で宿泊する手もあります。釣り人に有名な北本内川(P)や南本内川(Q)など、渓流釣りを楽しむのに良いスポットもいっぱいあります(アクセス道路の崩落で道が通れないようなこともよくあるので要注意)。皆さんもお好みに応じて、あれこれ探検してみてはいかがでしょうか。
写真・動画・文:ダムライター猪野光太郎(いのっち)