水源地を旅する 第五弾「夏の小樽で色がいっぱい!絶景の朝里ダムと奥沢水源地を歩いてみよう」


■はじめに

 「水源地を旅する」連載を担当しているダムライターのいのっちです。今回の舞台は夏の北海道。小樽近郊の絶景、朝里ダム【地図】と奥沢水源地、さらに最後に小樽の街歩きをちょっぴりご紹介します。車があれば1日でも十分回れる余裕のあるコースです!

 夏の北海道はダムがとてもきれい!定番の観光地ももちろんめちゃくちゃ楽しいですが、たまには静かなダムのまわりをお散歩するのも楽しいものです。

■絶景の朝里ダムを歩いてみよう

(写真は【地図】より撮影)

 今回旅をする朝里ダムは朝里川の河口から5キロに位置し、1993年に完成しました。四半世紀にわたり小樽市を洪水から守り市内に水道用水を供給してきた実績のある非常にありがたい存在なのです。

 早速、絶景の朝里ダムを歩きましょう。スタート地点は朝里ダム記念館【地図】(A)。車の方は、記念館の脇にある駐車場に車を止めます。公共交通機関の方は、朝里川温泉バス停【地図】より徒歩で30分ほどです。


 朝里ダム記念館は朝里ダムのダム湖であるオタルナイ湖の湖畔にあります。

 記念館の中には朝里ダムに関する展示がありますので時間のある方は見学してみましょう。

 記念館からはオタルナイ湖の絶景が広がります(B)。秋の紅葉シーズンに来ても楽しそうですね。ここから40分ほどのお散歩です。

 湖畔(C)に向かって遊歩道を降りていきます。木の緑と水の青、白い雲に黄色い花と色がたくさんあっていつまで見ても飽きません。

 湖畔(C)まで降りたら、ダム本体に向かって歩きます。左側にダム湖を眺めながらのウォーキングは湿度の低い北海道の夏特有のすがすがしさがありました。

 途中、左のダム湖側への分岐(D)がありますがここは正面に進みます。

  左側にはダム湖とダムを眺められます(E)

 さらに進むと道道1号線に着きますが(F)、横切ってここから朝里川展望広場【地図】を目指しましょう。

 展望台なので道中もちろん上り坂(G)。ここは絶景に心躍らせ耐え抜きます(大げさに書きましたがそこまできつくないのでご安心ください。)。

 展望台(H)からは上流側から朝里ダムとオタルナイ湖、下流側には後ほどご紹介するループ橋の一部がご覧になれます。

 ベンチもあるのでお弁当を持っていけば気持ちいいうえに北海道旅行で散財してしまったお財布にも優しくて一石二鳥です。ここから、もときた道を引き返し、道道1号線を下下流側に進むと、朝里ダム天端(I)に着きます。

 朝里ダムは、堤頂長さ(ダムの長さ)が390メートルもあり往復すれば780メートル。ちょっとした運動には最適です。

 真ん中付近からは、朝里ダム名物のループ橋、その奥に朝里川河口の街、その先の石狩湾までが一望できます。見学を終えたら道道一号線を上流側へ引き返して朝里ダム記念館へ戻りましょう。朝里ダムの散歩は以上になります。途中、時間のない方は展望台と朝里ダム天端へは車を利用してもいいかもしれません。

■散歩を終えてランチと温泉へ

 朝里ダム下流には朝里川温泉があります。お散歩で疲れた体を癒しましょう。今回立ち寄ったのは、小樽朝里クラッセホテル【地図】(J)

 先ほどまでの大自然とはうってかわって洗練された内装です。

 館内のレストラン「シルフィード」では名物のあんかけ焼きそばをいただきました(写真は海鮮あんかけ焼きそば1450円)。小樽のB級グルメとして売り出し中のあんかけ焼きそばですが、こちらはホテルならではの上品な味で特別な日のランチといった感じです。おこげをつけた中華めんとたっぷりの海鮮が入ったあんが相性バツグンでした。

(写真提供:小樽朝里クラッセホテル)

 食後は、ホテル内の日帰り温泉で汗を流します。森林浴を思わせる開放的な露天風呂で朝里ダムを歩いた疲れもスッキリです。

■奥沢水源地

 次は、大正時代から小樽の発展を長く支えた奥沢水源地へ向かいます。奥沢水源地へのアクセスは、小樽朝里クラッセホテルから車で15分ほど、小樽中心部からでも車で15分ほどです。バスの方は小樽駅より天神町行きのバスに乗り終点の天神町から歩いて10分ほどです。奥沢水源地は、北海道で初めての水道専用ダムとして1914年に竣工した非常に古いダムです。当時の最新鋭の技術を結集して造られた機能と美しさを両立するデザインにより近代水道百選、選奨土木遺産に認定されています。15台程度が止められる無料の駐車場【地図】(K)に車を止めたら、駐車場から目と鼻の先、一般開放されている水管橋【地図】(L)に行きます(写真奥)。一般公開の詳細はこちらからどうぞ。

 橋の上からは、階段式溢流路という人工の滝を見ることができます。壮大な景色ですね。残念ながら現在は天端などダムのメインエリアには立ち入ることができませんが、明治以降に港町として栄えた小樽の歴史を体感できるスポットでした。

■小樽中心部の魅力を少しだけご紹介!

 小樽中心部の観光情報は雑誌など他の媒体が充実していますので、ここでは今回の旅で私が感じた小樽の魅力の一部をご紹介しますので、お時間ある方は少しだけお付き合いください。私にとって、小学生の時に一度だけ訪れたことのあるこの街のイメージは「運河」だけでした。そんな私に、今回の旅でお世話になったゲストハウス「おたるないバックパッカーズホステル杜の樹(M)のオーナーは、小樽の魅力を感じるために観光地ではない部分まで隅々まで歩くことを勧めてくれました。

 歩いていると、何やら不思議な光景をたくさん発見できます。手宮線跡の散歩(手宮線跡の見どころは、こちらもご参照ください)をしていると、何やら怪しい廃墟のような建物が!これ、実は立派な居酒屋で、夜は怪しい雰囲気の中おいしいお酒をいただくことができます。旅行先のディープなスポット好きにはたまりません。ぜひ実際に廃線跡を歩いて探してみてください。

 こちらは北運河(N)です。一般の方が小樽の運河と聞いて思い浮かべる景色は、実は一部を埋め立て幅を狭くしたもの。北側には、作業船などがいまも停泊しており、当時の景色に思いを馳せることができます。

 観光地巡りももちろん楽しいですが、このように小樽を歩きながらそこに住んでいる人のなんでもない日常を探す旅をしてみるのも、旅のひとつの楽しみ方なのではないのかなといつも思うのです。

■おわりに

 いかがでしたでしょうか。今回は、小樽の街を影で支える朝里ダムと奥沢水源地をご紹介しました。奥沢水源地に向かう途中のちょっと寄り道したところにある北海道ワイン小樽醸造所(O)への立ち寄りもお薦めです。このほか、定番の小樽観光、余市のニッカウヰスキー工場見学(要予約)、積丹半島へのドライブなど様々なコースが考えられますので、日程、ご興味に併せて様々に予定を組んでみてください。

写真・動画・文:ダムライター猪野光太郎(いのっち)

■今回のルート