水源地を旅する 第六弾「意外と近い!?味噌川ダムと梓川アーチダム3兄弟を同時にめぐる」



■はじめに

 ダムライターのいのっちです!本連載「水源地を旅する」では、ダムや水源地周辺の楽しいスポットに目を向けてオススメの旅行プランをご紹介しています。私は今までプライベートで数々の旅行プランを立ててきましたが、ある時プランを立てるとき最終目的地をダムにするとその周辺には必ずステキな観光スポットがあることに気づきました。「水源地を旅する」では、そんな私のダムを目的地にする旅を少しだけ皆様にお伝えできればなと思っています。

 今回の舞台は長野県。松本駅を起点に梓川のアーチダム3基と木曽川源流の味噌川ダムに寄ることができるドライブコースです。途中には温泉と初心者でも行ける3000メートル級山岳地帯の乗鞍高原、朝穫れ野菜の直売所、道の駅のダムカレー、歴史ある宿場町など見どころ満載です。


■アーチダム3兄弟

 松本駅(A)から国道158号を梓川沿いに上流側へ走っていくと、わずか8キロの間に東京電力が管理するアーチ式コンクリートダムが3基現われます。日本全体でも50基程度しかないアーチダムが、わずか8キロで3基。この有難み、ダム好きにはたまりません。

 まずは稲核ダム (B)。上流側には南アルプスの山々が立派に並んでいます。ただ、歩道のない国道沿いからしか見学できないため車の中からの見学がオススメです。

 次は水殿ダム(C)【地図】。左側に道の駅風穴の里がある場所で、国道158号を右折して坂を降りていくと駐車場があるのでそこから歩いて見学です。天端も歩けるのでぜひ対岸側まで行ってみましょう。

 最後は奈川渡ダム(D) 【地図】。3基のなかでは最大の大きさで、天端は乗鞍高原と上高地へとつながる国道のため交通量が非常に多いです。車は右岸の上流側(E)【地図】に止めましょう。10台弱が止められます。


■寄り道は乗鞍高原へ

 奈川渡ダムの天端を渡って山道を約20分上ると乗鞍観光センター(F)【地図】です。無料の駐車場に車を止めましょう。ここから乗鞍高原の登山についてはこちらの記事をご参照ください。標高2700メートルまでバスで行ける観光地は日本でココだけです!

今回ご紹介するのは乗鞍観光センター内に2019年8月1日にオープンしたジェラート屋さんGiFT NORiKURA Gelato & Café。ジェラートメニューはやぎミルク、りんごのソルベ、ブルーベリーの3種類。どれも地元産の食材を使用しており、店主の熱い思いがこもっています。

 ブルーベリージェラートを注文してみました。木の器に盛られた一品は、500円という値段にふさわしく素材の味を存分にかみしめることができました。登山帰りの人、店主の熱い思いに共感した人、特にオススメです(もちろんそれ以外の方も!)。

 さらに、付近には乗鞍観光センター前の湯けむり館をはじめ多くの温泉があるのでダム巡りの途中で癒しの時間を過ごすことができます。時間のある方は乗鞍温泉で1泊するのもいいかもしれません。


■味噌川ダムを目指して

 乗鞍高原の観光を終えたら、味噌川ダムを目指してしばしのドライブです。

 途中、峠を越えて木祖村に入るとすぐに縁結神社(G)【地図】があります。無料の駐車場もあるので安心して寄り道できます。縁結びがウリの神社は数多あれど、縁結びの名を冠する神社はここだけです。どうか良縁ありますように。

 山道を降りていくと直売所「愛菜(H)【地図】があります。地元の生産者たちが運営しておりいつも朝穫れ新鮮野菜が並びます。しかも、ほとんどの野菜が100円と激安!

 朝9時ごろに寄ったところ、ちょうど生産者の方が商品を並べている最中でした。運が良ければ地元の野菜のことなど生産者から直接聞くことができます。ただし、グーグルマップで検索しても出てきませんので、実際に行かれる際にはご注意ください。


■味噌川ダムを見学!

味噌川ダム(I)【地図】は、右岸側、左岸側ともに駐車場があり天端も車の通行が可能です。今回は右岸下流側道路からダム天端にあがり、左岸側からおりていきます。

 右岸側には洪水吐があります。

 天端を歩いているとかわいいマンホールを発見!これからも木曽川のことをどうかよろしくお願いします。

 左岸には休憩できるあずまやが3つ。真夏なのに涼しい風が吹き抜けます。

 木曽川源流ふれあい館(J)では、味噌川ダムの歴史や周辺環境を楽しく学ぶことができます。

 こんな幻想的な展示もあります。ふれあい館ではダムカードも配布されていますので、ぜひ記念にもらって帰りましょう。

 味噌川ダム周辺は木々が青々としており、真夏にも関わらずからっと涼しい高原のような気候でした。


■きそむら道の駅ではお土産とダムカレーを

味噌川ダムから車で15分できそむら道の駅(K)【地図】です。こちらのオススメはレストランげんき茶屋の味噌川ダムカレー!

 地元名物の山賊焼きと素揚げの野菜たちがじっくり煮込んだカレーの旨味を引き立てます。私のダムカレーの理想である「地元名産をうまく盛り込んでダムを忠実に再現する、何よりおいしいカレー」を見事に体現したダムカレーでした。

 売店では、地元野菜や付近のお土産のほか、先ほどご紹介した縁結神社のグッズを買うことができます。縁結神社内にはおみやげ屋さんがないので、縁結びをしたい方はこちらで縁結びグッズを手に入れましょう。


■奈良井宿で宿場町の雰囲気を

 帰りは、木曽路を塩尻方面に走りますが、途中江戸時代に宿場町として栄えた奈良井宿(L)【地図】あるので立ち寄ってみました。

(写真提供:奈良井宿観光協会)

 昔ながらの街並みが今も残っています。地元の人はここで生活をしていますから、見学の際はくれぐれも配慮を忘れないようにしましょう。駐車場はこちらをご覧ください。無料・有料のものともに多数あります。

 地図中では見学を終えたら松本駅に戻るルートをご紹介していますが、塩尻駅や中央道などそれぞれの帰路について今回の旅は終了です。


■おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は内容が多彩だったため全部まわるには1日ではせわしないかもしれません。今回のコース上には乗鞍高原の温泉自慢の宿、ゲストハウス雷鳥(M)奈良井宿の昔ながらの民宿をはじめとした様々な宿泊地がありますので、どこかで1泊してまわられるのもいいと思います。また、時間のない方は梓川3ダムと味噌川ダムのどちらかのみの観光でも十分に楽しめるはずです。皆様の旅が素敵なものになることを願っています。

写真・文:ダムライター猪野光太郎(いのっち)


■今回のルート