ダムライターのいのっちです。4月から始まった「水源地を旅する」がついに四国上陸!今回は香川県を旅してみます。みなさんは香川といえば何を思い浮かべますか?私はもちろん、讃岐うどん一択です!(笑)
ただ、一方で誰もが認める有名観光地って少ない気がします。そんな香川の魅力は……すぐにはピンとこなくて取材をするまでは面白い記事が書けるか少し不安だったのですが、実際に行ってみたら一発で不安解消。香川には、地元の生活とそれに根ざしたうどん屋さん、定食屋さん、香川用水、魅力的な宿泊施設がいっぱいありました!今回は「暮らすように旅する」をテーマとした、地元の人との交流が楽しめ生活感がある場所にこだわった旅のお話です。観光ガイドブックには載らない香川の魅力、ご覧ください。
早速ですが、皆さんはゲストハウスという形態の宿泊施設をご存知ですか?明確に定義されているわけではありませんが、宿のスタッフ、旅人(旅行者)、場所によっては地元の人が交流を楽しむことのできる宿泊施設で、旅の醍醐味である地元の人や旅人同士の交流、地元の観光情報収集などができます。
今回は、高松市内のゲストハウス、だんらん旅人宿そらうみ【地図】(A)(1泊夕食付5,000円~)にお邪魔しました。
オーナーの野瀬章史さんが出迎えてくれます。
そらうみの最寄り駅は高松琴平電気鉄道(ことでん)の一宮駅(C)。JRの高松駅(B)から徒歩5分の高松築港駅から電車で約20分。一宮駅からことでん沿いに徒歩5分ほどです。高松空港からの場合には空港リムジンバスに10分乗って「空港通り一宮バス停」で降り、そこから徒歩12分。アクセス良好です。「そらうみ」には駐車場もありますし、翌日の予定を考えると駅か空港でレンタカーを借りたほうが楽なのですが、「暮らすように旅する」にはことでんに乗るのがおすすめです。
「そらうみ」は一見すると駅のようです。
目の前をとこでんが走ります。
そらうみ名物、「みんなでいただきますの会」。毎晩7時ごろから、オーナーの野瀬章史さんのお料理を偶然一緒に泊まった宿泊者の方と一緒にいただきます。ここで翌朝行くのにオススメのうどん屋さんの情報を仕入れておきます。そらうみから徒歩圏内にもいくつかのうどん屋がありますし、香川でうどん屋めぐりをしてみればひとりひとりのお気に入りの一杯が見つかると思います。
翌朝は、うどんを食べたら香川用水の起点、徳島県の池田ダム【地図】(D)に向かいましょう。私は一度高松駅に戻ってレンタカーを借りたので、少し遠回りしました。
香川県から山を越えた徳島県側にある池田ダムは、下流の徳島県中心部を守りながら慢性的に水不足に悩む香川県にも水を供給する四国東北部の水神様のようなダムです。そして、鉄骨構造の門柱が質実剛健さを訴えているようでかっこいい!国道の脇に数台ほど路上駐車スペース (E)がありますので、車を止めてダムを上から見学してみてください。
ダム湖上流側、吉野川運動公園【地図】(F)に車を止めて河原まで数十メートル歩くと対岸に香川用水取水工【地図】(G)があります。清流の吉野川は、湖の水もきれいでした。
見学を終えたら、さらに上流の池田大橋を渡り対岸を下流へと向かいます(対岸から先ほどのダムに戻ります)
対岸を少し降りると、先ほど遠くから眺めた取水工を近くで見ることができます。
このまま池田ダムに戻ったら今度は、ダム本体の見学です。
天端からは吉野川北岸用水取水工、魚道、湖などを見ることができました。
池田ダムで取水した水は、池田ダムからもときた山を越えて車で30分ほどの香川県の香川用記念公園【地図】(H)で再び地上に戻ります。香川用水記念公園の無料駐車場に車を止めたら、広場から香川用水の見学です。
(写真提供:香川用水記念公園)
吉野川の水が分水嶺を超えて香川県にやってきました。
香川用水記念公園には、水の資料館という博物館(無料)があり香川の水との戦いの歴史を学ぶことができます。
(写真提供:香川用水記念公園)
3階の展望台からは、これから香川県各地を潤す旅へ出発する水たちを見送ることもできます。
お腹がすいてきたところで、クセが少なく健康に良いヤギのミルクを使った料理がウリのレストラン「そめちゃんハウス」でランチタイムです。
香川用水記念公園からもと来た道を10分ほど引き返したところにある道の駅たからだの里さいたの中にあるのがそめちゃんハウス【地図】(I)。そめちゃんというのはお店の支配人さんの飼っているヤギの名前で、毎朝ミルクをいっぱい出してくれるそうです。そして、ここでいただけるのがそめちゃんミルクを使った絶品料理の数々。
そめちゃんミルクを使ったクリームコロッケ定食にデザートのプリン。どちらも今までに食べたことのない濃厚な味でした。とくに、クリームコロッケはもはや私の知っているクリームコロッケではありません。うどんでお腹いっぱいの方、だまされたと思って一度食べてみてください。
食後は、道の駅で地元の新鮮な野菜やお米、卵を選べます。ただし、お米を買う際は持って帰る時のことも考えてくださいね。
そめちゃんハウスから車で20分で満濃池【地図】(J)!1300年以上も前に造られたとされる満濃池は空海によって改修されました。その後も、かさ上げ、改修を繰り返し現在でも香川県に農業用水を供給しています。
天端に車を止めたら、食後の運動です。少し散歩してみましょう。
天端から見える取水棟がステキですね。
左岸側の車道を歩いてダムの下まで降りてみました。
ダム直下に向かって舗装されていない道を歩いていくと、副ダムがあります。非常にきれいな水でした。
堤体に造られた階段をのぼればもと来た駐車場です。ゆっくり歩いても15分くらいで回れますので、ぜひ一周歩いてみてください。
今回の旅は以上ですが、「暮らすように旅する」スタイルをさらに楽しみたい方は満濃池にほど近い丸亀駅前の丸亀ゲストハウスウェルかめ(1泊2,500円~、お風呂は地元のレトロな銭湯の利用が前提で、館内のシャワーは別料金)【地図】(K)に泊まってみて下さい。写真は、名物のうちわを持ったオーナーの中島さんです。
中島さんは日本そして世界の各地を旅してきた根っからの旅人。2017年には四国おもてなし感激大賞を受賞されており、飲み屋さんや銭湯、うどん屋さんなどオススメスポットを地元の目線でとても親切に教えてくれますよ!私はここで教えてもらった香川名物骨付き鶏のお店に飲みに行きました。
今回は、地元のゲストハウスを起点に香川用水をはじめとした香川の治水・利水を担うスポットを紹介してみました。これ以外にも香川県には無数のため池とうどん屋さんがあります。
特に豊稔池堰堤【地図】(L)は国の重要文化財にも指定された石積みのマルチプルアーチダムという非常に珍しい形式のダムですので、ぜひ行ってみてください。池田ダムから車で足をのばせば40分もあれば着く場所です。ここで結婚式を挙げたダムマニアのカップルもいるそうです。
ぜひ、香川県で「暮らすように旅する」を体験してみてください。
写真・文:ダムライター猪野光太郎(いのっち)