平成30年度「地域に開かれたダム」全国連絡協議会総会開催

2018.07掲載
水源地ネット編集局

▲協議会会長 伊那市白鳥市長

○「地域に開かれたダム」全国連絡協議会総会

「地域に開かれたダム」は、ダム湖の利活用をさらに推進し地域の活性化を図るため、地域の創意工夫を生かすとともに、ダムを地域に一層開放することを目的として国土交通省が指定するもので、現在全国で46ダムが指定されています。
「地域に開かれたダム」全国連絡協議会は、「地域に開かれたダム」指定市町村長で組織され、平成6年に設置されて、現在では28市町村が参加しています。水源地環境センターは、会長所在市町村に置かれる事務局を補佐するため、副連絡所として連絡調整等を行っています。
平成30年6月7日東京都千代田区の全国都市会館において、上記総会が開かれました。
総会には、28協議会会員のうち長野県伊那市白鳥市長をはじめ10市町の首長等、国土交通省から水管理・国土保全局森川河川環境課長等7名、水源地環境センターから森北理事長ほか5名が出席しました。
今回は、総会に引続き国土交通省 水管理・国土保全局治水課 豊口事業監理室長より講話がありました。

総会は、伊那市白鳥市長のご挨拶ではじまりました。
今年から高知県三原村が会員になったこと、「地域に開かれたダム」が所在する市町村だけではなく下流の自治体にも理解を広げていきたいこと、会員数を増やしこの協議会をますます発展させたいとの挨拶がありました。

次に、来賓として、国土交通省 水管理・国土保全局 森川河川環境課長から、最近は局地的な豪雨が増え国内各所で被害が発生しているが、昨年の九州豪雨では寺内ダムが99%の洪水調節を行い、ダムの効果が評価されてきたと挨拶がありました。

次に水源地環境センター森北理事長より、最近はダムツーリズム、ダムカード、ダムカレーなどが注目されてきていること、それらはダムマニアと呼ばれる人々の役割が大きいこと、さらにダムマニアが中心となり「ダムの歩き方」という本が出版されたこと、これらのことからダムが注目を浴びてきていることは非常に良いことであると挨拶がありました。                      

続いて平成29年度事業報告及び決算報告が承認された後、平成30年度役員選任において、昨年度に引き続き会長が長野県伊那市白鳥市長、副会長 熊本県菊池市江頭市長、監事 高知県宿毛市中平市長が再任されました。

その後、平成30年度事業計画及び予算案が審議され承認されました。

さらに、「地域に開かれたダム」関連事業助成金交付要綱に基づく助成事業の改善についても承認されました。

最後に、国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課 丸山流水管理室長から、ダム所在地の地域振興や、ダムに対する理解を深めていくことを目的としたダム再生全国会議(仮称)を本年度に開催したいとの発言がありました。


○講話 国土交通省 水管理・国土保全局治水課 豊口事業監理室長

豊口事業監理室長より、「ダム再生ビジョンと地域振興」と題した講話がありました。
まず、気候変動に対する予測によるとこれからの100年間でどれくらい平均気温が上昇するか、最も気温上昇が高くなるシナリオ(RCP8.5シナリオ)で4度前後の上昇が予測され、この予測では降雨量が現在の1.3倍になるとされています。これはダムの役割がこれまで以上に大切になるということを示しているとのことです。
次に、ダムの長寿命化、ダムを活用した地域振興等をより一層加速し、ダム再生を推進する上での課題を踏まえ、進めていかなければいけないとのことです。
また、今年度の新規ダム事業として、既存ダムの有効活用を推進するため、雨竜川うりゅうがわダム矢作やはぎダム早明浦さめうらダムの再生事業に着手するとのことです。
最後に、最近ダムを観光資源としたダムツーリズム、ダムカード、ダムカレーといったものにより水源地域が活性化されてきているので、これをさらに支援し、活性化に寄与していきたいとのことでした。


○「地域に開かれたダム」の活用促進に関する要望書

総会に先立ち、白鳥会長等が、国土交通省において、水管理・国土保全局 関係者に対して要望を行いました。
要望内容には、①「地域に開かれたダム」関連施設が有効かつ効果的に利活用出来るよう周遊歩道等の整備、②流域住民への「地域に開かれたダム」啓発のためのホームページ等の充実や積極的なメディア等を活用した情報発信、③ダム湖内景観維持、水質改善等の環境対策、④ダムツアーなど誘客活動の充実等、⑤当協議会の活動円滑化のため会員拡大への一層の支援等が掲げられています。