宮ヶ瀬ダムは「未来への贈りもの」 ~都会に一番近いオアシス~

(前)一般財団法人 水源地環境センター
研究第二部 吉田 成人

水源地環境センターでは全国のダムにおいて、業務や研究を通じてダムを活用した水源地域について様々な取組みを行い、地域の活性化などに貢献しています。

今回は、建設当時から「未来への贈りもの」をキャッチフレーズとして、ダムが持つ様々な可能性に取組んできた宮ヶ瀬ダムについて紹介したいと思います。

■1.宮ヶ瀬ダムの概要 ~宮ヶ瀬ダムと日本一~

宮ヶ瀬ダムは、堤高156.0mの重力式コンクリートダムで、総貯水容量約2億m3を擁し、計画発表から31年後の2000年(平成12年) 12月に完成を迎えたダムです。

重力式コンクリートダムとしては、日本で二番目の高さを誇っています。有効貯水容量は1億8,300万m3と芦ノ湖に匹敵する容量を有し、政令市の横浜市、川崎市、相模原市に水道用水を供給するなど大きな役割を担っています。

このように宮ヶ瀬ダムは、神奈川県民にとって「命をはぐくむ水源」でもあり、ダム完成以来、神奈川県では渇水が生じていないのも事実です。

また、横浜からは40kmと至近にあり、「都会のオアシス」としても宮ヶ瀬ダム及びその周辺は、首都圏をはじめ地域の方にも親しまれ、年間の利用者は多いときで200万人程度と日本一です。

図表-1
宮ヶ瀬ダムの位置

      図表-2
      宮ヶ瀬ダムの利用者は日本一

図表-3
ダムの高さは日本で2番目

■2.ダムとしては初めてのDMO認定

「公益財団法人 宮ヶ瀬ダム周辺振興財団」は、平成29年11月28日付けで、観光庁から、観光地域づくりの舵取り役である「日本版DMO法人」として登録されました。

観光庁が「日本版DMO法人」の第1弾登録として行ったもので、全国で41法人、神奈川県内では3法人が登録されました。

今後とも「日本版DMO法人」として、上記財団は、多様な関係者と連携や協力を図りながら、宮ヶ瀬湖周辺地域の活性化に向けた取組みを推進して行く予定としています。


<参考>
日本版DMO法人とは(観光庁ホームページより抜粋)

日本版DMOは、地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人です。
※「Destination Management/Marketing Organization」の略。

■3.全国でもめずらしい「定期観光放流」 ~水の恵みを知る~

宮ヶ瀬ダムでおこなわれている観光放流は、放流量が1秒間に30m3、放流時間は6分間におよびます。まさに、想像を絶する水量が織りなす、ダイナミックな人工瀑布。ゴゴーッという轟音とともに、2本の白い水の筋がどんどん太くなっていき、大量に流れ落ちた川底からは、水しぶきがまるで煙のように舞い上がります。

晴れた日は美しい虹も架かるこの壮大なショーを、ぜひ体感してみてください。

当面の観光放流の実施予定は、次のとおりです。

▶4月13日から当面の間、毎週水曜日及び毎月第2・第4金曜日の平日のみ観光放流を実施します。
・1回目放流 11時
・2回目放流 14時   各6分間放流します。

この観光放流を通じて、神奈川県の関係する皆様方の家庭の水は、宮ヶ瀬ダムに通じていること、「水の恵み」を知ること、「貴重な水を大切にする心」を育むことなど、来訪者の皆様に上述のことが伝われば幸いです。

図表-4
只今放流中 豪快な宮ヶ瀬ダムの観光放流

■4.宮ヶ瀬ダム ガイドアプリの紹介

▶宮ヶ瀬ダムサイトにあるさまざまな施設について、ARで案内しています。宮ヶ瀬ダムの設備で、普段は見えない施設が見られます。

▶ナビゲーションARやVRで見つけた各施設・設備を3か国語(日本語・英語・中国語<簡体字>)で案内しています。

▶そのほか、ダムサイトの謎解きアプリもあります。

▶お手持ちのスマートホン・タブレット端末から、下記のQRコードまたはURLよりアプリをダウンロードしてトライアル下さい。

【iOS版はこちら】

【Android版はこちら】

【iOS版】https://apps.apple.com/jp/app/id1524220771
【Android版】https://play.google.com/store/apps/details?id=com.DoriRobo.UnityProject_DamArApp

図表-5 ガイドアプリの紹介
(▲クリックでPDFが開きます。)

■5.宮ヶ瀬ダムとSDGs ~SDGsを体現しながら勉強~

少し視点を変えて、宮ヶ瀬ダムをSDGsの観点からみてみましょう。

その一部を以下に示しますが、宮ヶ瀬ダムはSDGs達成に大きく貢献していることが改めて分かります。

また、宮ヶ瀬ダムに訪れることにより、小学生の「学習要領」などに即した勉強教材として、実際に肌で感じて体験・体現できますので、是非活用いただければと思います。

▶ SDGs「目標6 安全な水を地域のみなさまに」 持続可能な飲料水の供給

▶ SDGs「目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」 併せて、再生可能エネルギーを活用した「カーボンニュートラル」の推進

▶ SDGs「目標15 陸の豊かさも守ろう」 ビオトープを通じた環境学習

図表-6
安全な水を地域のみなさまに

図表-7
エネルギーをみんなに そしてクリーンに

図表-8
陸の豊かさも守ろう

■6.「水とエネルギー館」のリニューアル

インタラクティブシアターなどの映像系技術を新たに導入し、「みて・さわって・楽しみながら」再生可能エネルギーを学べる施設として、令和4年3月9日(水) リニューアルオープンしましたので紹介いたします。

▶インタラクティブシアター
壁と床で上下につながる「大型プロジェクター投影映像」により、愛川第1発電所、愛川第2発電所の映像で、水力発電に関することを学ぶことができ、クイズに答えながらみんなで楽しめます。

▶太陽光発電・風力発電 体感装置
太陽光発電、風力発電の仕組みや特徴を、装置を使って体感する「体感型のゲーム感覚」で学ぶことができます。

リニューアルしました「水とエネルギー館」の案内

図表-9

図表-10

<出典>

○ 図表-1,-2,-3,-4,-6,-7,-8 は「R3宮ヶ瀬ダム管理運用検討業務」成果品より出典
○ 図表-5 は「相模川水系広域ダム管理事務所」webより出典
○ 図表-9,-10 は「神奈川県」webより出典