鶴田つるだダム「秋の大鶴湖おおつるこまつり in 2024」に参加してきました!

一般財団法人 水源地環境センター
調査部 岡本 二郎

開催日:2024年11月24日(日)

イベントに参加しました!

昨年の11月、鹿児島県さつま町にある国交省管理「鶴田ダム」を訪問してきました。ダム周辺で開催される「秋の大鶴湖まつり in 2024」イベントに参加するためでした。

実は昨年参加したかったのですが、タイミングが合わず参加できなかったため、大変楽しみでした。

洪水被害へ軽減し、クリーンエネルギーで地域の暮らしを支える鶴田ダム

この本イベントはインフラツーリズムのモデル地区でもある鶴田ダムにおいて、地域共生の観点から開催されました。大鶴湖(鶴田ダム湖)インフラツーリズム関係者会議(国土交通省九州地方整備局鶴田ダム管理所を筆頭に地元のさつま町、伊佐市、電源開発株式会社、NPO法人等)が主催となって今回2回目の開催となりました。それまでに会議で検討を重ね、当財団(WEC)メンバーも運営にかかわることで実施されましたが、WECメンバーは各自の持ち場があるため、全体を俯瞰する形で、翌日の出張の前日入りの形を取り、自分が参加することができました。

イベント案内チラシ(鶴田ダム管理所ウェブサイトより)

遊覧船受付をしてほっと一息展望公園散策

遊覧船受付

今回目玉は2つ、ダム堤体見学(点検放流とセット)と、大鶴湖遊覧船(曽木発電所遺構を間近で見学できる)でした。

ダム堤体見学は予約制、大鶴湖遊覧船(10人程度の小型船)は先着順であっため、見学の最終14:10枠を予約、遊覧船に乗ることをまずは目指しました。

羽田から早朝2便で鹿児島10:00前に到着、会場には11:00に着きましたが、乗船可能な時間はすでに12:30という大人気状態でした。

近くに曽木発電所展望公園があったため、ゆっくりと散策することができました。

曽木の滝の下流400mの地点にその落差を利用して1907年に建設開始された曽木第一発電所が1908年に運用開始し、出力は800kWでした。余剰電力は水俣のカーバイド製造にも使われていましたが、残念ながら1909年洪水により破損・閉鎖されてしまいます。現在はヘッドタンク導水路後のみ残っています。

曽木第一発電所導水路受付

曽木第一発電所導水路 幸せの金魚

その後、さらに落差から下流にも発電所建設が可能なことがわかり、曽木第二発電所として1910年本館、翌年にはすべてが完成し、その出力は6,700kWでした。曽木の滝から取り入れた水は約1.5kmの導水路を通り発電所上部のヘッドタンクに導かれ、4本の水圧管路から4機のタービンにより発電されていました。

鶴田ダム完成の昭和40年(1965年)まで運転を継続した後、約60年の歴史に幕を閉じたのでした。この発電所本館跡地のことを曽木発電所遺構と呼んでおり、正確には、「曽木第二発電所本館」ということになります。鶴田ダムの水位の下がる夏場のみ、その姿が見られるようになっています。

夏場にみられる全景(鶴田ダム管理所ウェブサイトより)

湖底に沈む発電所本館

湖底に沈んだ後1999年頃保存活動の動きが起こり、補強工事も行い、2006年に登録有形文化財に登録、2009年には近代産業遺産に登録されました。その後2009年に築100周年を迎え、現在でもイベント時のライトアップや遊覧船の運航等有効活用の取り組みがなされています。

公園散策後歴史を理解した上で乗船することにより、当時の人々に思いをはせることができ、タイムスリップした古を偲ぶことができ大変感動しました。次回はぜひ夏場に訪問したいものです。

間近でみられる発電所本館上部

船から見た上流曽木の滝

さてダム堤体の見学(点検放流)だ!

すでに、遊覧船乗船後13:00を回っており、安全運転で急いでダム堤体下部にある受付(WECの人間他で対応)に顔を出し、一段下の駐車場には美味しそうなキッチンカーが並んでいましたが、すでに時刻は14:00まであと少し、食べる時間もなくダム堤体に移動しました。

駐車場からダム堤体までは無料シャトルバスが運行されており、見学者の皆様の動線については大変よく考えられていると思いました。

受付で頑張るWEC職員

地元で人気のキッチンカーも参加

受付済ませた見学者はダム堤体まで無料バスで移動

ダム管理所で受付をすまし、パンフレットなどをいただくと、何やら若い男女の集団が楽しそうにバスから降りてきて合流されました。

聞くところによるとさつま町主催する恋活イベント、お昼の「和牛懐石」に始まり、「ダム放流見学(年1回)」をしてから「薩摩おれんじ鉄道(貸切車輛)の車窓から眺める夕景」のコースだそうです。

鹿児島のお笑い芸人2人組のPartyさん(テレビによくでるぱーてぃーちゃんではありません)がMCで盛り上げていました。

それらの写真は残念ながら掲載できませんが、ダム放流のスリルを味わった効果の後、夕日の車輛の中、一組でも二組でも新しい出会いが成立することを願わずにはいられませんでした。ダム放流を活用したこのようなイベント開催するさつま町、すばらしいですね。

さて、話を戻しますと、管理所の方々にダム堤体内を案内していただき、ダム堤体からエレベータでダム内部の監査廊まで降り、再開発事業で新しく作られた増設ゲート室から、コンジットゲートを見上げられる展望所へと移動しました。

いよいよ放流開始、コンジットゲート3門の内2門が開かれた放流は大迫力、参加の皆さんも大歓声をあげられていました。あまり間近でダム放流を見学したことはなかったのですが、場所によっては水しぶきがかかるようなダム放流も大変人気のスポットになっているようで、皆が行きたくなる気持ちがよくわかりました。

たくさんのお楽しみ

今回はダムカードが2か所で配布されました。先の大鶴湖遊覧船の受付場所では曽木発電所遺構verを、ダム堤体見学・ダム放流見学に参加した人には鶴田ダムverが配布となりました。

さらに、その2か所を回った人には少し大判の記念カードをプレゼント(各種限定1000枚)とのお楽しみがありました。

見学者の中にはダムを回ってから13時過ぎ、遊覧船乗船の受付に来られた方がいましたが、恐らく12時過ぎにはすでに最終便まで受付終了だったかもしれません。先にも書きましたが、本当に人気でした。

曽木発電所遺構ver

鶴田ダムver

イーサキングとさつまるくん

イーサキングとは伊佐=13がトランプでいうところのキングから名付けられた鹿児島県伊佐市のキャラクター、もちろんさつまるちゃんとは鹿児島県さつま町のイメージキャラクターです。たけのこを模した帽子に、あおし柿のアクセサリーをつけ、薩摩西郷梅を首飾りにして全身で特産品をアピール。蛍の名所として有名な川内川がお気に入りの場所で、お尻をピカピカ光らせるのが特技のようです。

とてもかっこよく、かわいいですね。

鶴田ダムをバックにこの2人とツーショットが見られるのはこの日限りということでとても盛り上がっていました。

記念カード

その他のお楽しみとして、鶴田ダムのキャラクターとして鶴田ダムレンジャー(ゲートマン1号から6号とクレストマン)の7人の印刷されたシールをもらえるスタンプラリーもありました。

地域を守るものとして、下流の町を洪水から守っている鶴田ダムの7つのゲートキャラクターです。

ひたいには鶴田ダムのシンボルマーク、その下に向かって左から増設ゲート、コンジットゲート、発電管があり、胸からおなかは川内川、おなかには国交省マークと左下に蛍と、見えませんが裏側には曽木発電所遺構もあるようです。なかなか素敵ですね。最後の最後には走ってスタンプラリーもゲットしました。

ダムコンジットゲート広場にはこの鶴田ダムレンジャーが静かにたたずんでいました。実はこれWECスタッフのお手製の人形です。とってもセンスがいい作品、非常に忙しい中にこのような素晴らしい作品をつくる意欲に大変頭が下がります。

ダムレンジャーカード

お手製のダムレンジャー人形

見学を振り返って

ダム堤体見学後、お客さんもそろそろ帰るということとなり、無料送迎バスで下部の駐車場に向かいました。腹ペコでしたので、終了間近でありましたがキッチンカーに立寄り、キューバ風サンドウィッチに舌鼓を打つことができました。その他クレープ等美味しそうなものばかりでした。

WECメンバーも受付を片付け帰途につこうとする時、一組の親子連れがスタンプラリーを完走したようで、申し訳なさそうに差し出してこられました。スタッフはもちろん気持ちよくダムレンジャーカードをお渡しすると、お子さんは大変喜んでいました。また一人ダム好きが生まれた瞬間です。自分はダムレンジャー人形をひとつ手渡したい気持ちになりました。

最後に片付けの場面ではダム管理所、さつま町のみなさんとWECスタッフが一体となって笑顔だったのがとても印象的でした。常日頃からコミュニケーションを取り、楽しいイベントに向かって皆が協力したから成しえたと、雰囲気から感じ取れました。点検放流が行われた11月24日には、昨年の1.65倍の約660名の方々が来場されたようです。

このようなイベントを通じて地域の皆様に愛され、理解されるダムになることは間違いないと感じました。その他地域のイベントにも足を運びたくなったのは言うまでもありません。イベントスタッフの皆様、本当にお疲れさま、ありがとうございました。