第19回WEC応用生態研究助成 発表会を開催しました

一般財団法人 水源地環境センター
研究第三部 主任研究員 平岡康介

令和7年8月4日に「第19回WEC応用生態研究助成 発表会」を開催しました。
「WEC応用生態研究助成」については水源地ネット6・7月合併号を御覧ください。

本助成では、助成終了後、研究成果を研究者自ら発表していただき、ダム貯水池に関連した他の研究者と議論する場として「WEC応用生態助成研究発表会」を行っており、令和7年度が19回目の開催となります。

今回は令和7年3月に完了となった下記の4件の研究について発表していただき、それぞれの研究成果について闊達な議論が行われました。


第19回WEC応用生態研究助成 発表会 発表テーマ
発表テーマ氏名所属助成年数
諫早湾干拓池に生息するエツの生態学的実態の解明竹中 浩貴東京大学大気海洋研究所
生物海洋学グループ研究室
1
ダム・堰によって孤立化した水生生物の
集団健全性の遺伝子診断手法の開発
三品 達平九州大学大学院
農学研究院
1
底質中鉄の化学形態とリン酸保持機能に関する
天然湖とダム湖の比較湖沼学的研究
板井 啓明東京大学大学院
理学系研究科
2
ダム水源地における撤退集落・農地の
自然復元・再生に向けた参加・共創アプローチの方法論の開発
宮本 善和鳥取大学工学部
社会システム土木系学科
2


発表会の様子(令和7年8月4日)

ダムに関連した研究テーマは多岐にわたり、堰で仕切られた河口における魚類の生態解明、分断化に強い遺伝的特徴の研究、ダム湖の地球化学的解析、水源地域の休耕農地生態系の再生など、幅広い分野が含まれます。
本助成では、ダム貯水池およびその上下流・周辺地域の生態系や水環境への関心を広げ、研究の裾野を広くすることを重視しています。

ダムを単に在来の流域生態系に負の影響を与える存在として捉えるのではなく、その影響を緩和し、新しい発想でより豊かな自然環境へとつなげていく工夫を促すことを目指します。本助成の成果が、こうした取り組みを後押しし、自然豊かで持続的な水源地づくりに貢献することを期待しています。

WEC応用生態研究助成は今後も継続します。次回の応募や発表会へのご参加は、研究者との交流や新しい視点獲得の場ともなります。
多くの皆さまからの積極的な応募と、発表会での熱意ある発信を心よりお待ちしています。