水源地を旅する 第十九弾「静岡県・天竜川と豊川用水のダム巡り」

■はじめに

今回は静岡県西部の浜松駅(A)を起点に愛知県、長野県との県境付近のダムをめぐります。高度経済成長期の電力需要を支えた静岡県の佐久間ダム、昔から渇水に悩まされてきた東三河地域に豊川用水で水を供給する宇連(うれ)ダム・大島ダムを中心に、楽しい観光コースになりました。浜松駅でレンタカーを借りて、ドライブに出かけましょう。


■天竜川のダム巡り

浜松駅から市街地を抜けて天竜川の上流部を目指しましょう。今回紹介する天竜川の下流部(静岡県内)には下流側から船明(ふなぎら)ダム、秋葉(あきは)ダム、佐久間ダムと大きな3つの重力式コンクリートダムがあります。1つずつめぐっていきましょう。

浜松駅から車で1時間弱、船明ダム東(B)の信号を左に曲がると船明ダム(C)が見えてきます。天竜川では最下流のダムでどっしり横長のダムです。今回は紅葉がきれいでしたが、桜の名勝としても知られているので春の見学もオススメです。すぐ隣の船明ダム運動公園(D)の駐車場などに車を止めて見学してみましょう。背の高いローラーゲートと呼ばれるゲートが印象的です。

船明ダムから数分上流側に車を走らせると少し珍しい看板【地図】(E)がありました。アポロ11号のアームストロング船長もびっくりの、おそらく地球上で最も月に近い場所なのではないでしょうか。ここで宇宙服のコスプレで記念撮影したらSNSで大いに受けそうです。

途中道の駅・天竜相津「花桃の里」(F)を通り過ぎてさらに30分ほど北に行くと秋葉ダム(G)です。こちらは、とにかくあらゆる方向から見やすいので、見ていて気持ちのいいダムです!

天端の左岸側駐車場(H)に車を止められますので、近くから見学してみてください。

さらに、このダムの特徴は下流側の赤い吊り橋からの秋葉ダムビュー!遮るものが一切ない最高の場所からの見学ができます。左岸側から車で吊り橋の近くまで行けるので、吊り橋(I)の上からぜひ見学してみてください。

吊り橋の上に来てみました。天端にそびえたつローラーゲートと呼ばれる水門が印象的です。放流されていたら大変な迫力なのでしょう。こちらも、春には道路沿いを桜並木が広がります。

さらに30分上流側に行けば佐久間ダム(J)【地図】です。船明ダム、秋葉ダムと同様のローラーゲートですが、とにかく大きいですね。高度経済成長期を支えた歴史ある発電ダムです。天端も歩けるので様々歩き回ってみましょう。少し上流には佐久間電力館(K)がありますが、現在はコロナウイルス感染拡大防止のため休館中です。

■佐久間ダムカレー

ここからは細い山道ドライブと、そろそろランチにしましょう。佐久間ダム湖を右に眺めながら右岸側を1時間ほど北上するとコーヒーショップ栃の木(L)に到着します。

時間がない方や運転に自信のない方は佐久間ダムから引き返して直接次の宇連ダムへ向かうのもアリですが、ここで味わう山奥のダムカレーもおいしいのでぜひ行ってみてください。

家庭的な雰囲気の店内では佐久間ダムカレー(1,000円) を食べられます。佐久間ダムを模した、お子様ランチのような具たくさんな一皿。遊び心いっぱいなダムカレーは揚げたてのエビフライ、とんかつなど味もピカイチです!

■豊川用水ダム巡り

ダムカレーを食べ終えたら、佐久間ダムまで引き返して愛知県側にある宇連ダム(M)に向かいましょう。左岸側駐車場に車を止めます。

オーソドックスな重力式コンクリートダムにためられた水は、豊川用水として渥美半島をはじめとする東三河地域に農業用水、工業用水を供給しています。

宇連ダムから車で10分ほどで大島ダム(N)。同じく豊川用水に流れる水をためています。右岸側に車を止めて見学してみましょう。

■周辺のオススメスポット

今回のダム巡りは以上ですが、浜松市内には面白い場所がほかにもたくさんありますので特におすすめの2か所を紹介してみます。まずは、うなぎパイファクトリー(O)

みんな大好きうなぎパイの工場が予約不要、無料で見学できるうえに記念品(ミニうなぎパイ)ももらえちゃいます。

工場では実際に動いている製造ラインを見学でき、うなぎパイカフェではうなぎパイを使ったパフェなどのカフェメニューをいただくこともできます。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から営業時間短縮と臨時定休日を設けていますので事前にホームページ(https://www.unagipai-factory.jp/)の最新情報(お知らせ) よりご確認ください。帰りにはお土産を買って帰りましょう。浜松に来たら絶対に寄ってほしいスポットのひとつです。

次は中田島砂丘(P)

無料の駐車場に車を止めて海に向かうと広大な砂浜から遠州灘が一望できます。ダム巡りの〆に夕日を見に行ってみてはいかがですか。砂丘といえば鳥取砂丘が有名ですが、こちらも負けていません。

■おわりに

今回は、浜松を起点にしたダム巡りを紹介してみました。少し長いコースになってしまいましたので、1日目はダム巡り、2日目はうなぎパイファクトリーなどの観光、というように2日に分けて観光してみるのもいいかもしれません。また、今回はアクセスが悪いため紹介できませんでしたが、佐久間ダムと宇連ダムの間にはアーチ式コンクリートダムの新豊根ダム(Q)があります。

この地域では唯一のアーチ式コンクリートダムですので、狭い道が続きますが時間があって運転に自信のある方はぜひ行ってみてください。山奥にひっそり雄大に佇む巨大なダムはダム巡りの醍醐味です。皆様の旅が素敵な旅になることを願っています。

写真・文:ダムライター 猪野光太郎(いのっち)

■今回のルート