ラビリンスなダム  苫田 とまた ダム -岡山県苫田郡 鏡野町 かがみのちょう

2018.08掲載
国土交通省中国地方整備局
苫田ダム管理所

1.苫田ダムの紹介

 苫田ダムは、岡山県東部を流れる吉井川の河口(児島湾)から約90km上流の苫田郡鏡野町に平成17年3月に完成した重力式コンクリートダムです。
非常用洪水吐きには重力式コンクリートダムでは国内で初めて、ラビリンス型(ジグザグ型)自由越流頂と呼ばれる構造が採用されており、この様に入り組んだ形にすることで、より多くの水をスムーズに流すことができます。

苫田ダム流域図

苫田ダム全景 ラビリンス型自由越流頂

【ダム諸元】

 形 式:重力式コンクリートダム
 堤 高:74m
 堤頂長:225m
 堤体積:300千m3
 流域面積:217.4km2
 湛水面積:330ha
 総貯水容量:84,100千m3
 洪水調節容量:50,000千m3
 利水容量:28,100千m3


【ダムの目的】

・洪水調節
 ダム地点の計画高水流量2,700m3/sのうち、2,150m3/sを貯留し、洪水調節を行います。
・水道水の安定供給
 岡山県南西部の水道用水として、新たに1日40万m3の取水を可能にします。これは、約100万人の水道使用量に相当する量です。
・かんがい用水を供給
 苫田ダム下流の約243haの農地にかんがい用水を補給します。雨が何日も降らない日が続いた時、田畑の水が枯れないようにします。
・工業用水の供給
 吉井川下流の工業用水として最大1日8,500m3の取水を可能にします。
・河川環境の保全
 雨が何日も降らない日が続いた時、ダムに貯めておいた水を川に流す事で、川の生物たちが 棲み処(すみか) を奪われる事が無いよう、河川の環境を守ります。
・水力発電
 ダムに貯めていた水を放流する勢いを利用し岡山県企業局により水力発電を行っています。最大4,600kW一般家庭6,400戸分の電力を作ります。

国土交通省苫田ダム管理所ホームページ:http://www.cgr.mlit.go.jp/tomata


2. 苫田ダムインフラツーリズム

 苫田ダムでは鏡野町の観光振興・地域活性化を目的とする団体である「かがみのツーリズム研究会」や民間旅行会社と連携して数多くのインフラツアーを催行しています。通常は開放していない場所の見学ができるツアーやダムカレーと町内の日帰り温泉入浴券をセットにしたインフラツアーなどが好評です。2017年度には一般申込の見学会を含め33回行い、民間旅行会社が募集を行うも催行に至らなかったものも含めると約60回程度が企画されました。開催回数は毎年増加しており2018年度も増加の見込みです。

○ダムの直下流の見学や通常は入ることの出来ない常用放流設備やダム最深部も見学できます。

○運良く放流していれば堤体内の展望室から放流を見ることが出来ます。展望室は1年中一般開放しています。

○2017年9月から販売されている苫田ダムカレーも好評です。奥津温泉のレストランAelu(アエル)で食べることが出来ます。

見学会申込先  http://www.cgr.mlit.go.jp/info/genba/pdf/b06.pdf
インフラツアー http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/infratourism/index.html


3.苫田ダム周辺の主なイベント

・鏡野町大納涼祭
ダム湖である 奥津湖 おくつこ 畔で毎年8月の第1土曜日に開催されるイベントです。ステージイベント、特産品販売などの催しがあり、苫田ダム管理所では巡視船を使用して奥津湖巡視体験を毎年行っています。夜には有名花火師による約5,000発の花火が上がり、約40,000人が来場します。
(2018年は平成30年7月西日本豪雨の影響により開催中止となりました)

○ダム湖畔で行われる打上花火

○巡視体験でダム湖をクルージング

・ローラースキーかがみの大会
奥津湖畔のダム管理道等をコースとして毎年8月頃に開催されるローラースキー大会です。ローラースキーとはクロスカントリースキー選手の強化として行われている競技で、本大会は10㎞、6㎞、3㎞のコースで行われる全日本スキー連盟公認大会です。2017年大会では106人が参加されました。
(2018年は平成30年7月西日本豪雨の影響により開催中止となりました)

○小学生から大人まで参加されます。

・ファンライド鏡野
奥津湖畔を含むコースで毎年9月頃に開催される参加者が600人規模のサイクリング大会です。チャレンジコース120㎞、ミドルコース60㎞、ショートコース3㎞のコースで行われます。
(2018年は平成30年7月西日本豪雨の影響により開催中止となりました)

○ダムの堤頂道路もコースに入っています。

・鏡野 SEA TO SUMMIT
アウトドアメーカーモンベルと鏡野町により10月に開催されるカヤック、バイク(自転車)、ハイク(登山)の総距離45.2㎞で行うスポーツイベントです。2017年から参加者が300人規模で開催されています。

○初日には環境シンポジウムも開催されます。

○奥津湖でのカヤックパート

○奥津湖畔を走るバイクパート

○ハイクパート

4.苫田ダム周辺の見所

・苫田ダムのある鏡野町
鏡野町は岡山県の北部に位置し、山陽地方と山陰地方の中間、関西圏と広島県の中間にあり古くから山陰、山陽などの主要都市を結ぶ地域となっています。
町の主な産業は、米・果樹・野菜などを中心とする農業と林業です。また、温泉をはじめキャンプ場・スキー場などの観光資源も豊かで、農林水産業等を連携させた観光戦略を推進しています。観光名所も数多くあります。

○奥津温泉
 美作三湯 みまさかさんとう の一つ奥津温泉は江戸時代より開かれ、温泉街となってきたのは大正時代のこと。「足踏み洗濯」が行われる露天風呂を中心に、川沿いにしっとり風情のある老舗旅館や民宿が立ち並びます。神経痛や皮膚病、リウマチなどに効用があるほか、漂白成分を含んでいるため、お肌は白くスベスベに!「美人の湯」として全国的な人気を集めています

※「美作三湯」とは、岡山県北にある、 湯郷 ゆのごう 温泉・ 湯原 ゆばら 温泉・奥津温泉の3つの名湯からなる西日本有数の温泉地。

○奥津 けい
 名勝奥津渓は、奥津温泉の下流3kmに渡り流れる吉井川沿いの渓谷で、昭和7年4月19日に文部省より「名勝地奥津渓」に指定されています。
 吉井川の源流と花崗岩が数十万年の歳月をかけて自然が形造った臼渕の 甌穴 おうけつ 群は「東洋一の甌穴」ともいわれています。春は新緑にコブシやシャクナゲ、ツツジの花が咲き、夏は深緑と透明度抜群の吉井川に、山頂から吹き下ろす冷風、秋は真っ赤なモミジやブナ・カエデを始めとした紅葉の絶景が広がり、冬の樹氷と雪景色など、四季を通じて風情に富んだ素晴らしい渓谷美を楽しむことができます。

岩井滝 いわいだき
鏡野町最北端、標高830mの鳥取県境近くの中国山地の森に囲まれた 三国山 みくにがせん の麓にある岩井滝は、高さ約10m、幅6mと規模は大きくないですが、滝の上部に大きな岩盤が突き出し、滝の裏側からも流れ落ちる清水を眺めることができる “裏見 うらみ の滝” として人気を集めています。また、冬には氷瀑も見ることが出来ます。(ただし、冬期はガイド同行のみ入山可能)

恩原 おんばら 高原スキー場
岡山県最大級の規模を誇る恩原高原スキー場は、中国山地の標高800m~900mに広がる高原の美しい景色が楽しめるスキー場です。初級~上級者まで幅広いコースが特徴で、スキーやスノーボードを始め、ソリ遊びや雪遊びが楽しめるキッズパークもあり、ご家族皆で楽しむことができます。また、2月には「氷紋祭り」が開催されレーザーショー&5000発を超える冬の打上花火が冬の恩原高原を幻想的に彩ります。

鏡野町観光総合サイト https://www.kagamino.holiday/