ダム見学者の安全確保のため「ししおどし」を設置しました

2018.08掲載
国土交通省 東北地方整備局
鳴子ダム管理所


▲存置した工事用道路

 鳴子ダムでは平成26年度に管理用発電設置工事に伴い、ダム直下にアプローチできる工事用道路を江合川沿いに約1.5km設置しました。この工事用道路を管理用道路として存置したことにより、人や車が容易にダム直下まで来ることが出来、ダムインフラツーリズムやノルディックウォークなどのツアーが盛んに開催されることとなり、一般見学者も大勢案内が可能となりました。

 ダム直下からダムを見上げ、その大きさやアーチならではの曲線美を直に体感できることが大好評を得ているとともに、江合川沿いの渓谷の美しさや周りの木々の新緑や紅葉は、ダム完成後の60年余り手つかずの自然が残っており、格別な美しさを醸し出しております。それらを体験可能にしたのが工事用道路の存置となっています。

 しかしながら、人が来ることにより安全対策も講じる必要があり、渓岸斜面の落石防止対策や道路河岸の護岸対策、階段や手すり、進入禁止チェーン等の物理的な安全対策を行っているところです。

 もうひとつの安全対策として欠かせないのが、野生動物から見学者の安全を守ることです。鳴子ダム周辺ではツキノワグマ、ニホンカモシカ、ニホンザルなどが出没しており、最近では積雪地帯には生息していなかったイノシシが生息し農作物の被害が報告される様になっております。そのための安全対策として注目したのが「ししおどし」です。「ししおどし」は庭園などに風流さを出すために設置されているのが多くありますが、もともとは野生動物から農作物を守るために人間の知恵が生み出した装置です。

 沢の水等を利用し、ダム直下の管理用道路に2箇所「ししおどし」を設置しました。 電気やバッテリー等を使用せず、単純構造で低コストであり、見学者の皆さんには大変好評を得ているものとなっています。特に小学生や外国人には注目の的で有り、その仕組みや出す音に大変興味深く関心を寄せていただいています。

 野生生物との共生を図るため、普段は音が鳴らないようにしていますが、ダム直下の見学がある場合は鳴らすようにしています。

▲設置した「ししおどし」 ▲JICA研修生も大注目
▲貯水池を泳ぐツキノワグマ ▲管理用通路のニホンカモシカ
鳴太郎日記(鳴子ダム管理所ホームページ内)より
▲ダム隣接国道のニホンザル

鳴子ダム管理所ホームページ
http://www.thr.mlit.go.jp/naruko/