国土交通省 水管理・国土保全局
河川環境課 流水企画室
皆様には、日頃からダム行政の推進について、出水時の防災操作はもちろんのこと、日常的なダムの維持管理、ダム水源地域活性化などにご支援とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。近年、ダムにおいては、本来の事業目的である治水機能、利水機能の確実な発揮のみならず、事前放流による計画規模を超えるような洪水への対応、水力発電増電によるCN実現への貢献など、社会状況の変化に即した新たな社会的要請が高まっているところです。
本稿では、令和7年のダムの事前放流及び洪水調節状況について振り返ります。
令和2年度以降、全国のダムで事前放流の実施体制を整えて洪水に備えており、令和7年は全国の延べ41ダムで事前放流を実施し、約1.1億m3の容量を確保して洪水に備えました。このうち、利水ダムでは延べ24ダムで事前放流を実施し、約0.7億m3の容量を確保しました。

図-1 令和7年に事前放流を実施したダムの管理者(重複除く)

※上記の延べ41ダム、約1.1億m3に加え「すでに事前放流の容量を確保し、水位が低下していたダム」が全国で、延べ262ダムで容量を確保(約11.4億m3)
また、令和7年は全国の国土交通省、独立行政法人水資源機構、道府県が管理するダムで延べ500回の洪水調節を実施しました。ダムによる洪水調節は、ダム下流における河川整備と相まって、河川水位の低減、浸水被害の防止、軽減に治水効果を発揮しています。
令和7年(2025年)年8月6日からの大雨では、緑川流域の稲生野雨量観測所(熊本県上益城郡山都町)において、24時間雨量が364mmを記録し、城南水位観測所では観測史上最高水位となる7.49mを記録しました。緑川では、緑川ダムによる洪水調節を行うとともに、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」などで河川整備を進めていたことにより、城南水位観測所上流(16.4k地点)において約70cmの水位低減効果を発揮し、越水を回避しました。仮に、これらの河川整備等が無かった場合、越水していたことが想定され、多くの浸水被害が発生していた可能性があります。(被害想定:浸水面積約450ha、家屋浸水約400戸)。


図-2 令和7年8月の大雨における河川整備と緑川ダムによる治水効果
令和7年は6月下旬以降の少雨により、新潟県や東北地方の一部地域において渇水が深刻化してきたことを踏まえ、7月30日に国土交通省渇水対策本部を設置しました。北上川水系の鳴子ダム流域では令和7年6~8月期の総雨量が直近30ヶ年で最少となる219mmを記録し、近年で経験したことがないほどの少雨となりました。
まとまった降雨がなく、ダム貯水位が厳しい局面を迎える中、令和7年7月29日3時に最低水位EL.231.00mを下回りましたが、最も水を必要とする出穂期に切れ目のない補給を継続するため関係利水者からの同意のもと、最低水位以下の貯留水を使用して補給を継続しました。(合計約25百万m3(東京ドーム約21杯分)の水を補給)

図-3 令和7年渇水における鳴子ダムの効果
治水・利水の両面から、地域の人々の生活や経済活動を支えているダムには、その機能を最大限に発揮させることや、その機能を長期間維持していくことが求められます。各ダムにおいて、令和7年の防災操作等を振り返り、次期出水までに改善すべきところは改善し、訓練を実施するなど管理技術を高めることで、より確実なダムの操作を目指していきます。
また日々の点検など維持管理を確実に行うことはもちろんのこと、新たな技術を導入し省人化・高度化していくことも重要と考えており、技術開発も併せて進めてまいります。今後ともダム行政の推進について、ご理解とご協力をお願いいたします。