ダム・水源地トピックス

宮ヶ瀬ダムの観光放流見学者数が10万人突破のご報告

2018.02掲載
国土交通省 関東地方整備局
相模川水系広域ダム管理事務所

■宮ヶ瀬ダムの観光放流見学者数が10万人突破
 
▲写真 平成29年11月29日観光放流終了後10万人突破記念撮影



 

○宮ヶ瀬ダムの観光放流

 宮ヶ瀬ダムは、神奈川県中央部を貫流する一級河川相模川の支流、中津川に造られた治水・利水・河川環境の改善・発電を目的とするダムです。特に利水については、平成13年のダム運用開始以降、神奈川県内で取水制限は実施されておらず、神奈川県の水源として大きく貢献しているダムとなっています。

 また、宮ヶ瀬ダムは、建設時から地域振興を強く意識して、観光放流を可能にする石小屋ダム(副ダム)や多くの観光客が一度に乗り降りできる堤体内エレベータ、建設時に資材を運搬したインクラインの一部を観光用に再利用したインクライン(ケーブルカー)などが整備されています。

 観光放流は、地元要望も受け、ダムを直接利用した地域振興として、平成14年8月7日より開始されました。通常は洪水時に使用する高位常用洪水吐から、最大放流量毎秒30m3を発電使用水量の一部を利用して期間限定・短時間放流するものです。


【観光放流の概要(平成29年度)】
 ■高低差 :約70m
 ■放流量 :毎秒30m3(15m3×高位常用洪水吐2条)
 ■実施期間 :4月~11月 毎週水曜日、第2日曜日、第2、4金曜日、その他
 ■実施時間 :11時、14時(各6分間)



 

○観光放流を実施するにあたっての特徴

安全管理

 宮ヶ瀬ダム(本ダム)の観光放流時は、ダム下流約800mにある石小屋ダム(副ダム)までは、放流により一時的に増水し水位変動が生じますが、石小屋ダム(副ダム)から下流へは一定量の放流をしています。これにより、石小屋ダム下流の中津川では水位変動が生じることがないため、警報や巡視などの安全管理を行わなくても観光放流を実施できることが大きな特徴となっています。


 
 

 参考までに、宮ヶ瀬ダムでは、相模川本川にある神奈川県が管理する相模ダム、城山ダムと連携しながら神奈川県の水道水を供給する「総合運用」を実施しています。これは、相模ダム、城山ダムと宮ヶ瀬ダムの流域特性、貯水量を考慮し、河川の水を融通しあう二つの導水路を使って、お互いの貯水能力を補完するものです。石小屋ダムは、この導水路で安定した取水を行うため、造られており、また、安全な観光放流が実施できることにも寄与しています。

 
 

発電との調整
 宮ヶ瀬ダムは、ダム下流の中津川に対して、最大毎秒5m3の維持流量を放流することとなっていますが、この維持流量は、前述の通り石小屋ダムからの放流となります。ただし、石小屋湖への水の供給は、通常、宮ヶ瀬ダムから発電に使用した水としています。しかし、観光放流は、高位常用洪水吐からの放流、つまり発電を通さない放流となるため、発電量が減少することになります。これについては、発電の事業主体である神奈川県企業庁が、年間70日、日使用量約2万m3について協力いただき、観光放流を実施しております。  

 
 
 

○観光放流の実施方針と見学者数

 平成14年から実施された観光放流は、年間を通し毎週水曜日と毎月第2日曜日に実施していましたが、冬季の見学者が少なくなっている状況を考慮し、平成21年からは4月~11月の期間とし、毎週水曜日と毎月第2日曜日に第2、4金曜を追加し現在に至っています。

 見学者数は平成16年以降概ね5万人前後を推移し、安定した人気を誇っていましたが、平成28年は7万人を超え、平成29年はついに10万人を超えました。

 見学者数の増加要因としては、一つとしては、平成28年1月に国交省でインフラツーリズムポータルサイトを開設し、それに伴いメディアがインフラツーリズム全体について多く取り上げ始めたことが考えられます。宮ヶ瀬ダムに関するテレビ放映も平成28年から平成29年では、当方で確認しているだけでも20回程度は行われており、テレビ放映後は放映内容に伴う問い合わせが多くなることから、直に反響を感じているところです。

 また宮ヶ瀬ダムに限定すれば、圏央道の整備が進み、遠方からも比較的訪れやすくなったことも考えられます。それらが相乗効果となって、見学者の増加につながったと推察しているところです。



 

○観光放流の今後

 平成28年に地元愛川町が観光放流を夜間に実施してほしいとの要望が有り、平成28年に試行、平成29年より本格的にナイト放流を実施することとなりました。今までの観光放流は昼間の実施でしたが、これを夜間に実施することで昼間とは違った迫力が発見でき、来場者の反響も大きく盛況でした。
 
 これらのこともあり、今年は遂に10万人を突破しました。
 
 今後も、観光客の皆様に楽しんでいただける宮ケ瀬ダムを目指して、いろんな取り組みを実施していきたいと考えております。 皆様のご来場をお待ちしております。



宮ヶ瀬ダムの見どころについて、相模川水系広域ダム管理事務所ホームページ(宮ヶ瀬ダムのみどころ)で沢山紹介しています。